▲日東製薬は有望な新薬候補物質を発掘し、新薬開発に拍車をかけている。/日東製薬提供

 韓国の日東製薬は日本の塩野義製薬と経口コロナ治療薬の候補物質「S-217622」の共同開発を進めており、昨年11月に韓国の食品医薬品安全処から第2相、第3相の臨床試験の認可を受けたのに続き、今年1月に韓国国内の患者への投与を開始した。

 S-217622は新型コロナウイルスが持つタンパク質分解酵素を阻害し、ウイルスの体内増殖を抑制する新薬。韓国以外にも日本、シンガポール、ベトナム、欧州で第2相、第3相の臨床試験が行われている。日東製薬は今年上半期中に商用化することを目標に臨床試験を行い、商用化後には技術移転を通じ、国内での生産を具体化する計画だ。

 日東製薬は糖尿病治療薬、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)治療薬などの新薬開発にも取り組んでいる。糖尿病治療薬候補物質「IDG16177」は昨年6月、ドイツで第1相臨床試験に入った。IDG16177は血糖が高まれば選択的にインスリンを分泌するよう誘導するため、薬物投与による低血糖発生リスクを最小化できるという。競合社の類似物質に比べ、10分の1の量でも優れた血糖抑制効果があり、安全性も高く評価されている。また、非アルコール性脂肪性肝炎治療薬の候補物質「ID119031166」の世界各地での臨床試験も行っている。

 日東製薬の新薬開発成果が目立つのは、最近数年間にわたり研究開発組織を拡大し、投資を増やしてきたためだ。同社は昨年、売上高の20%に相当する1082億ウォン(約109億円)を新薬開発に投じた。

 日東製薬は新薬開発に効果的な組織を構築するため、新薬物質発掘専門会社「アイリードBMS」、臨床薬理コンサルティング専門会社「エイムス(AIMS)バイオサイエンス」、新薬開発・商用化専門会社「アイディエンス(Idience)」など系列企業間の協力を強化している。日東製薬のチェ・ソング研究開発本部長は「充実した研究開発体系の構築を通じ、有望な新薬候補物質を継続的に発掘し、研究開発プロジェクトを推進するのはもちろん、候補物質の特許確保、技術輸出を目指している」と説明した。

イ・ボルチャン記者

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