話題の一冊
韓国人の中のファシズムはなぜ隠密化したのか
【新刊】イム・ジヒョン、ウ・チャンジェ、イ・ウクヨン編、キム・ネフン、キム・ジンホなど10人著『私たちの中のファシズム2.0』(ヒューマニスト刊)
1999年に民主化勢力内部の矛盾を批判して季刊誌『当代批評』に発表され、韓国社会を熱く揺るがした同名企画のパート2だ。あれから22年が流れた。何が変わったのだろうか。
「2.0」とは、残念ながら、韓国人の内面のファシズムがアップデートされたことを意味する。権力の作動方式は強制と抑圧から、個々人の内面化された規律と同意を通しての自発的服従へと、一層隠密化された。世俗化された「586運動圏」(1960年代生まれで80年代に大学へ通った50代の学生運動出身者)は大衆を扇動し、白昼堂々と「積弊」「土着倭寇(わこう)」狩りを繰り広げる。彼らは韓国社会の宗教裁判官だ。運動圏権力の逸脱は、毎回「進歩」の名で正当化され、労働運動は「韓国人-男性-大企業-正社員労働者」を代弁する日常権力となった。民主主義が成熟する暇はなかった。行政・立法権力を全て握っても「保守勢力に包囲されて何もできなかった」と抗弁する韓国の現政権勢力の姿に、帝国主義列強から社会主義を守らなければならないとして自分たちを正当化した、かつてのスターリン主義者たちの「包囲された要塞(ようさい)」理論を読み取る著者らの認識は深く、興味深い。212ページ、1万6000ウォン(約1540円)
シン・ドンフン記者