韓国のテレビ局YTNで、与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)大統領選候補の当選を想定した掲示物が番組内で映り込み、「政治的偏向」の表れではないかと物議を醸している。騒動が拡大したため、YTNは「あらゆる状況を想定して準備していたものが、たまたま番組に映り込んだだけ」だとして「特定候補の勝利を想定して得票率を表記したわけではない」と釈明した。

 

 問題の掲示物が映り込んだのは、今月20日に放送されたYTNの番組『市民デスク』。番組では、大統領選に向けて準備している選挙放送チームのオフィスの風景が映された。壁の一方には、大統領候補それぞれの得票率などが書かれた掲示物が貼られており、その一部は、李候補の勝利を想定したものだった。「李在明49%」「李在明50%」「尹錫悦(ユン・ソクヨル)38%」などだ。

 これをめぐり、野党「国民の力」の公正放送監視団は「選挙放送チームのオフィスの壁は、李候補が尹候補を大差でリードしていることを示す掲示物で埋め尽くされており、その様子がそのまま放送で流れた」として「YTNの選挙放送チームは大統領選挙の放送に向けて準備しているのではなく、李在明候補の当選放送に向けて準備している」と指摘した。

 YTNは、「国民の力」の主張は的外れだとしながらも、誤解を与えかねないという指摘について謙虚に受け止めるとの立場を表明した。YTNは「選挙チームは、グラフィックのフォーマットなどを比較する際に適当な数字を入れただけで、意図的にそのような数字を入れたわけではない」と釈明した。その上で「あらゆる状況を想定して準備しており、その途中段階がテレビに映ってしまった」と説明した。

 さらに「李候補の当選を想定した投票率のほかにも、国民の力の尹錫悦候補がソウルで得票率を26.4%に伸ばして李候補を3倍以上も上回っているとか、李候補、尹候補、正義党のシム・サンジョン候補がそれぞれ35%ずつ得票し、合計が105%になるグラフィックなどもあった」と説明した。

 問題の映像はオンラインでは全て削除されている。YTNは「制作陣は放送直後、インターネットのコミュニティーサイトなどの指摘を謙虚に受け止め、関連の動画を再編集して投稿した」と述べた。

キム・ソジョン記者

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