韓国では14年ぶりに貿易収支が3カ月連続で赤字となる可能性が指摘され、輸出への依存度が高い韓国経済は厳しい状況となっている。韓国は既に福祉支出の拡大などで慢性的な財政赤字に直面しており、今年の韓国経済は財政赤字と貿易赤字という「双子の赤字」に陥ることが懸念されている。

 韓国関税庁は21日、2月1-20日の貿易収支が16億7900万ドルの赤字だったと発表した。原油価格の高騰などで輸入が増え、昨年12月に貿易収支が20カ月ぶりに赤字に転落して以降、1月に続き2月も赤字となる可能性が高まった。3ヶ月連続赤字となれば、2008年6-9月の4カ月連続以来、14年ぶりとなる。

 2月1-20日の輸入額は前年同期比12.9%増の360億ドルだったのに対し、輸出額は13.1%増の343億ドルだった。輸出も伸びているが、原油、石炭などエネルギー関連輸入の増加分を相殺するには至らなかった。原油輸入は55%増の49億ドルで、石炭は131%増の12億ドルだった。韓国は年間9億-10億バレルの原油を輸入しているため、原油価格が1バレル当たり10ドル上昇すれば、貿易赤字が90億-100億ドル増えることになる。

 原油高によるエネルギー輸入増は相当期間続くとみられる。韓国経済研究院のチュ・ウォン経済研究室長は「ウクライナ問題以前から世界的なサプライチェーン(供給網)の問題で原油価格が急騰した。こうした状況が少なくとも今年前半まで続く」と予想した。エネルギー経済研究院はウクライナ問題が解決されない場合、原油価格が最高で125ドルまで上昇すると予想した。

 貿易収支は経常収支で最も大きな割合を占める。貿易収支の赤字から脱却できない場合、2020年5月から昨年12月まで連続黒字となっている経常収支も赤字に転じる可能性がある。すでに総収入から総支出を差し引いた統合財政収支は19年以降、3年連続で赤字となっている。

 政府債務が急激に増え、財政の健全性が悪化しているが、長期間続いた黒字基調まで崩れれば、国家の信用度低下リスクにつながりかねない。19年以降3年連続の財政赤字は既に韓国経済の潜在的リスク要因となった。信用格付け大手のフィッチは先月、韓国の主権格付けをダブルAマイナスに維持しながらも、「韓国は短期的には政府債務の増加を持ちこたえられる水準だが、債務比率が継続的に上昇しており、長期的な観点では信用格付けの圧迫要因として作用する可能性がある」と指摘した。韓国の政府債務は昨年時点で965兆ウォン(約93億円)で、コロナ以前の19年(723兆ウォン)に比べ242兆ウォン増えた。

 国内総生産(GDP)に占める政府債務の割合は18年の35.9%から今年は50.1%(1月の追加補正予算案ベース)まで上昇した。50%は低い数値のように思えるが、30%台から50%台に達するまで4年かからなかったという点で問題は深刻だ。

 韓国政府も双子の赤字が信用格付けにマイナスの要素となる点を認識している。韓国政府は21日、信用格付け大手のムーディーズとの定例会議に入った。これに先立ち、洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政部長官は国会で、「間もなくムーディーズ、フィッチなど信用格付け会社と上半期の協議を行わなければならないが心配だ。こちらの市場(国債市場)が揺らいだり、金利が上昇したりした場合、信用格付けが低下した場合に及ぼす影響も考慮せざるを得ない」との認識を示した。

 数年間財政赤字が続いても、韓国経済が持ちこたえることができたのは経常収支のおかげだ。しかし、経常収支で最も大きな割合を占める貿易収支がエネルギー輸入の急増で揺らいでいる。原油高騰は貿易収支を悪化させるだけでなく、韓国の主力品目の生産コストも上昇させる。韓国経済研究院によると、原油価格が1バレル=100ドルを超えれば、各産業の生産コストは石油精製で23.50%、鉄鋼で5.26%、化学製品で4.82%、船舶で1.47%、自動車で1.40%など大幅に増大する。さらに、電力・ガスおよび蒸気産業のコストは20.19%上昇し、道路運送サービス産業、航空運輸サービス産業のコスト上昇率もそれぞれ4.99%、4.97%と推定されている。

キム・テジュン記者

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