チェス、囲碁に続きレーシングゲームでもAI(人工知能)が人間を越えた。素早い物体認識や判断、突発事態への対処能力でもAIが優れていることを立証したのだ。

 

 ソニーは9日(現地時間)、独自開発したAIドライバー「グランツーリスモ・ソフィー(GT Sophy)」がレーシングゲーム「グランツーリスモSPORT」の競技で人間の世界チャンピオンに勝ったことを明らかにした。グランツーリスモは、1997年に1作目がリリースされ、世界で8000万本以上が売れたレーシングゲーム。大規模なeスポーツ大会も開かれている。

 囲碁やチェスといったボードゲームでは、既にAIが人間に勝っていたが、レーシングゲームは違った。高速のレーシングゲームは急なカーブや高速区間など、時々刻々と変わる状況にドライバーが即座に対処しなければならない。他のレーシングカーとの衝突にも備え、走行中に失格にならないための競技ルールも熟知しておかなければならない。日経新聞のNikkei Asiaは「リアルタイムで瞬間的な判断が必要な領域なので、従来のAIモデルでは人間を上回るのは非常に難しいと評価されていた作業」と解説した。

 ソニーは、マシンラーニング(機械学習)の強化学習法を考案し、AIドライバーの「GT Sophy」を訓練した。特定の環境を提示し、AIが目標を達成したかどうかによって肯定的、否定的フィードバックを与える試行錯誤型の学習法だ。ソニーは20台のプレイステーションを同時に動かし、Sophyを10日間トレーニングした。ソニー側は「強化学習訓練が終わるころ、GT Sophyは超人的な水準に達していた」とコメントいた。GT Sophyの学習過程は、科学ジャーナル「ネイチャー」の最新号に掲載された。

 訓練を終えたGT Sophyは、昨年7月と10月にグランツーリスモのeスポーツ・チャンピオンらとレーシング対決を繰り広げ、軽々と勝利を収めた。チャンピオンチーム(4人)とAIチーム(GT Sophy4体)が行った団体戦は、計6試合のうち5試合でGT Sophyが勝った。世界チャンピオンと繰り広げた1対1のレースでもGT Sophyが勝利した。米国スタンフォード大学のクリス・ガーデス教授は「今回の結果はAIの画期的な成果」とし、「GT Sophyに適用された技術は、自動走行自動車やロボット分野に新たなチャンスを提供するだろう」と語った。

シリコンバレー=金城敏(キム・ソンミン)特派員

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