▲4日、中国・北京の国家体育場で開かれた北京冬季五輪の開会式で韓服を着た女性が他の少数民族を着た人々と登場し、手を振っている。/聯合ニュース

 4日に行われた北京冬季五輪開会式で韓国の伝統衣装である韓服を着た女性が朝鮮族の代表として出演したことを巡り、「中国の文化侵奪」だとする論争が起きた。韓国文化の源流が中国だとする文化帝国主義的な態度がまたも表れたからだ。

 今回のケースに対する見方は単純ではない。今回の一件だけを見れば、「中国の少数民族の一つである朝鮮族が韓服を着たことに過敏に反応する必要はない」というのが理性的な判断だが、実際それにとどまらない国民的な憤りとなっている。包容ではなく支配をキーワードとする中国政府の少数民族統治政策、「東北工程」に代表される韓国古代史歪曲(わいきょく)、韓服とキムチの起源論争など、積み重なった拒否感が表面化したと分析されている。

 

■朝鮮族が韓服を着るのは当然だが…

 複数の専門家はひとまず、今回の出来事そのものを「文化侵奪」と見なすことには慎重であるべきだとの立場だ。中国の55の少数民族で人口では14位を占める朝鮮族が韓服ではない別の服装で登場することこそ想像し難いからだ。西江大中国文化学科のイ・ウクヨン教授は「中国が公式行事でさまざまな民族の伝統衣装の一つである韓服を着た人物を登場させたことは今回が初めてではない」とし、「仮に朝鮮族を代表する人物が旗袍(チーパオ・中国の伝統衣装)を着て登場すれば、それこそおかしいではないか」と指摘した。今回の一件は韓服の起源論争とは無関係だとの立場だ。

 韓流研究者である韓国外大のチョ・ヨンハン教授は「我々と同じ韓民族であると同時に中国の少数民族でもある朝鮮族が韓服でアイデンティティーを表現したと言える」と述べた。むしろ韓服の由来が中国の漢族ではなく、韓半島だという意味が込められているとも解釈できるとの指摘だ。決して今回の一件だけが反感の原因ではないと言えそうだ。仮にロシアで五輪が開催され、開会式に韓服を着た高麗人(韓国系移民)が登場すれば、これほどの拒否感はなかったはずだ。

■古代史から韓服・キムチまで、相次ぐ「挑発」

 中国は2002年から07年にかけて公式に進めた「東北工程」を通じ、古朝鮮、夫余(扶余)、高句麗など韓国の古代史に登場する国家を「中国の地方政権」として歪曲する作業を進めた。07年にはある研究書に「百済と新羅も中国史の一部」と記述された事実も明るみに出た。17年にトランプ米大統領(当時)は習近平国家主席との会談後、「韓国は歴史的に中国の一部だ」と習主席が語っていたことを明かし、韓国人の反中感情を高めた。

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