コラム
【コラム】日本に劣る今年の韓国の成長率予測
米日両国はこのほど、外務と経済を担当する閣僚による「経済版2プラス2」の立ち上げで合意した。米国から国務長官、商務長官、日本からは外相、経済産業相が顔を合わせ協力を強化することを決めた。これまで国際舞台で「2プラス2」と言うと、外務・防衛閣僚が安全保障を協議する場だったが、米日は経済分野まで含める新たな概念の会議体を設置したことになる。
米日の「経済版2プラス2」は中国をけん制するための外交上の枠組みをつくり、同時に経済成長の突破口も見いだす意味がある。岸田文雄首相は幅広い枠組みで国家戦略を立てている。安倍晋三元首相の影から脱却する意図が隠れているとしても、岸田首相の経済政策はスケールがなかなか大きい。
岸田首相は最近、「新しい資本主義」を主張している。所得を増やし、それによって消費を促進し、成長と分配をいずれも実現すると強調している。各論に入ると、賃上げした企業に政府調達事業の入札で5-10%の加点を行うといったメカニズムだ。最低賃金も7%ほど引き上げるとしている。政府の介入意思を示しながらも資本主義の原則は崩さない。対症療法はやめ、持続可能性を重視する。
事実岸田流の「新しい資本主義」は画期的なものではない。しかし、今更ながら新鮮に思えることには理由がある。韓国大統領選の候補たちが「数兆ウォンを投入する」というバラマキ式の約束をまるで経済政策のように装うのを見ていると相対的に目立つのだ。少なくとも岸田首相の経済路線には長期間かけてつくり出したような哲学と戦略がある。
今韓国大統領選の選挙戦は未来を見据えた国家ビジョンが失われた。脱毛症解決、タクシーへの仕切り設置といったマーケティング型公約の洪水だ。それは長期的な国利民福とはかけ離れている。隅に隠れた票をかき集めようとして細かい網を打つほどだ。国家戦略ではなく、選挙用の浅はかな企みだ。
長年の低成長にコロナ禍が重なり、活気を失うはずだが、日本経済は今年、危機が一服しそうだ。日本銀行は今年の経済成長率を3.8%と予想している。韓国銀行による韓国の成長率予測(3%)を0.8ポイント上回る。1970年以降で日本経済の成長率が韓国を上回ったのは第1次、第2次オイルショックを経験した1972年と80年、通貨危機当時の98年の3回だけだ。いずれも世界経済にメガトン級の爆弾が落ちた場合に限られていた。
今年は中国の景気が急速に冷え込み、米国は急ピッチで利上げを行う見通しだ。しかし、韓国の大統領候補は世界経済の流れがどうであれ、バラマキ公約づくりに忙しい。目的地も告げずにただ「無事にご案内します」と繰り返す運転手のようだ。24年ぶりに韓日の経済成長率が逆転するという見通しが示される状況を重く受け止めるべきだ。
孫振碩(ソン・ジンソク)記者