▲2018年5月に外信記者らが見守る中、咸鏡北道吉州郡豊渓里の核実験場で指揮所と建設作業員の仮小屋が爆破された。/写真共同取材団

 北朝鮮が核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試験発射猶予を撤回する可能性を示唆した中、一部坑道が爆破された豊渓里の核実験場が引き続き維持・管理されているとの見方が浮上している。米政府系放送「ボイス・オブ・アメリカ」(VOA)は24日(現地時間)、「北朝鮮は豊渓里核実験場を維持している」とするオリ・ハイノネン元国際原子力機関(IAEA)事務局次長の発言を報じた。

 

 米スティムソン・センターの特別研究員を務めるハイノネン氏は先日、衛星写真を根拠に「車両が通行した痕跡や除雪作業などから推測すると、北朝鮮は豊渓里の核実験場を一定の条件で維持している」との見方を示した。ハイノネン氏は「1年前に埋められた核実験場の衛星写真などここ数年の現場の様子と2019年に撮影された写真を比較すると、同じように維持・管理されている」「新たに建設されたものはなかった」とも伝えた。ハイノネン氏はさらに「特定の建物を良好な状態で維持し、1年前の冬の写真でも車両が通り過ぎた痕跡があることから、豊渓里の核実験場は維持されているようだ」「(閉鎖されたのであれば)このように持続的な作業は必要ない」と指摘した。

 豊渓里核実験場の四つの坑道のうち1番坑道は1回目の核実験(2006年)後に閉鎖され、2番坑道では2-6回目の核実験が行われた。3-4番坑道の場合、2番坑道よりも規模は大きいが、今も使用されないまま管理されているという。北朝鮮はシンガポールで行われた米朝首脳会談直前の2018年5月、韓国のメディア関係者や外信記者らを豊渓里に呼び、2・3・4番坑道の一部を爆破する様子を公開した。しかし3・4番坑道内部の起爆室は爆破せず、いつでも再利用が可能だという。ハイノネン氏は「建物の入り口には雪を取り除いた痕跡があり、また屋根の雪が溶けたのを見ると、多くの建物は使用中だ」との見方を示した。

 ハイノネン氏は北朝鮮が豊渓里核実験場を管理する理由について「放射線漏れをチェックする必要もあるが、後の核実験再開の決定に備えるためかもしれない」「(豊渓里核実験場は)1回も使用されていない坑道があり、爆破された坑道の入り口の代わりに新しい入り口を通し、これらの坑道につなげる方式を使用しているかもしれない」などと説明した。ただしハイノネン氏は北朝鮮が豊渓里でただちに核実験を再開するのは難しいとみている。ハイノネン氏は「過去に実施された強力な核実験の影響で周辺の岩盤や山が毀損(きそん)された可能性が高いため、追加の核実験は非常に注意しなければならない」とした上で「もし再び核実験を敢行するのであれば、中国が不満を示す可能性があり、北京冬季オリンピックもあるのでただちに実行するのは難しいだろう」との見方を示した。

ワシントン=イ・ミンソク特派員、キム・ミョンソン記者

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