経済総合
韓国製K-9自走砲、エジプト向け輸出契約ならず
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は21日(現地時間)、アラブ首長国連邦(UAE)・サウジアラビア・エジプトの3カ国訪問を終えて帰国の途に就いた。北朝鮮による挑発行為や新型コロナウイルス感染症の流行など韓国国内の状況が悪いにもかかわらず、「絶対に行かなければならない」と言って、任期最後の海外訪問に出た文大統領だが、当初の話とは違い、特にこれと言った成果を挙げられなかったと評されている。
今回の3カ国訪問に同行した防衛事業庁の姜恩湖 ( カン・ウンホ )庁長は同日、文大統領がエジプトを出発する直前に記者会見を行い、「韓国・エジプト間のK-9自走砲の契約妥結に関して期待を持っていたが、文大統領は『無理に交渉に臨むのではなく、健全に交渉に臨み、互いにウィンウィンになる(双方に利益が出るようにじっくり交渉せよ)』と指示した」「さらに時間が必要だ」と述べた。政府は以前、今回の3カ国訪問をきっかけに、エジプトで韓国製K-9自走砲の輸出が実現する可能性を示唆していた。だが、両国が20日に署名した了解覚書(MOU)にはこうした内容が盛り込まれていなかった。両国は訪問の最終日まで某所で交渉を行っていたが、見解の違いを縮めることはできなかった。エジプト側は終盤まで契約金額を値切る交渉をしていたという。
サウジアラビアでも防衛産業と原発輸出契約の話はなかった。文大統領はムハンマド・ビン・サルマン皇太子と会った後、「韓国の原発の技術は世界最高水準の経済性と安全性を持っている」「サウジ原発事業の最適なパートナーになると確信する」と述べた。新たな契約を推進したということだ。だが、ビン・サルマン皇太子は原則論的な回答しかしなかったという。
UAE訪問では、4兆ウォン(約3813億円)台の韓国製弾道弾迎撃ミサイルシステム「天弓-II」の契約が実現した。ただし、今回の契約は、政府が「昨年、契約が事実上完了した」と広報していたものだ。
一部では、「北朝鮮が新年から連日ミサイル発射で挑発し、新型コロナのオミクロン株感染拡大も深刻な状況で、大統領が国外に出るのは適切なのか」との批判もある。文大統領の海外訪問中に北朝鮮は今年4回目となるミサイルを発射し、核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を再び検討すると言った。さらに、文大統領がUAEに滞在中、イエメン・フーティ反軍がドローン攻撃をするなど、現地の状況も不安定だった。これに対して、青瓦台(大統領府)は「大統領の外交は大韓民国の国益のためのもの」「成果のある訪問に対する攻撃は政治攻勢だ」と述べた。
カイロ=キム・アジン記者