サムスン電子で10年間にわたり特許戦略を統括してきた元役員が特許の権利を乱用して、大企業などに特許侵害の和解金や賠償金を要求する「パテント・トロール」と呼ばれる企業と組み、サムスン電子に訴訟を仕掛けた。

 

 IT業界によると、安昇晧(アン・スンホ)元サムスン電子IPセンター長(副社長)が設立した特許法人シナジーIPは昨年11月、サムスン電子とサムスン電子アメリカが特許専門業者「ステイトン・テキヤ」の特許10件を故意に侵害したとし、両社に損害賠償を求める訴えを米テキサス州北部連邦地裁に起こした。シナジーIPはサムスン電子がステイトン・テキヤの「オーディオ録音装置」「多重マイク音量管理制御装置」に関する特許を無断でギャラクシーS20シリーズ、ワイヤレスイヤホンのギャラクシーバッズ、人工知能(AI)プラットフォームのビクスビーなどに使用したと主張している。

 IT業界からは安元副社長がサムスン電子を提訴したことを問題視する声が上がっている。安元副社長は米特許専門弁護士で2010年から19年までサムスン電子の特許業務を統括し、さまざまな訴訟と契約を主導した。電子業界関係者は「長い間サムスンの特許防衛を統括し、内部戦略を最も熟知する人物が攻撃の先鋒に立った。在職中に知り得た営業秘密を活用する可能性が高いため、職業倫理上問題がある」と話した。サムスン電子側は「事態を把握しており、訴状を詳細に検討の上対応していく」と説明した。

パク・コンヒョン記者

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