事件・事故
出生届なく学校も行けなかった…三姉妹、20年間「透明人間の人生」 /済州
済州島で20年以上も出生届が出されないまま影のように生きてきた三姉妹が発見され、衝撃が広がっている。
済州市は30日、出生届が出されていない20代の女性2人と10代の女性1人の三姉妹が、同市内で40代の母親と暮らしていることが確認されたと発表した。年齢はそれぞれ24歳、22歳、15歳だという。
三姉妹の存在が明らかになったのは、父親のAさんが死亡し、今月20日にAさんと事実婚状態にあったBさん(44)が役場にAさんの死亡届を出したのがきっかけだった。死亡したAさんは済州出身、事実上の配偶者のBさんは慶尚北道の出身だという。
済州市の関係者は「今月20日に母親と三姉妹が一緒に父親の死亡届を出しに来た」「そのときに母親のBさんが役場の職員に娘たちの出生届について尋ね、職員が照会したところ三姉妹が無戸籍であることが分かった」と説明した。
この関係者はさらに「最初にこの話を聞いたときは信じられなかった」として「出生届がなければ住民番号も付与されず、公民権のない状態となって学校など正常な社会生活を送ることができないが、25年以上もそのように生きてきたというのが信じられない。全く初めてのケースだ」と驚いた様子で語った。
事実関係を確認した済州市は、出生届を提出しなかった三姉妹の母親Bさんを児童虐待(教育的放任)の疑いで警察に通報した。また、三姉妹の保護措置な必要なため、緊急支援制度と国民基礎生活保障(生活保護)を申請した。
母親のBさんは住民センターの社会福祉士との面談で「3人とも自宅で出産し、産後は体調が悪くて出生届をすぐに提出することができなかった」として「その後は、出生届の手続きが複雑だったため提出しなかった」と話していることが分かった。このため三姉妹は住民登録番号も付与されないまま、長い間社会と断絶された状態で暮らさざるを得なかった。小・中・高校までの正規教育も受けられず、病院での診療・治療も一度も受けたことがなかった。
三姉妹と面談した社会福祉士は「面談の結果、学校での正式な授業は受けたことがないものの、EBS(教育チャンネル)やインターネット講義で基本的な勉強をしていたと話していた」として「ほとんど家で過ごしており、具体が悪くても単なる風邪程度だったため、薬局で薬を買って済ませており、病院に行く必要がなかったとのことだった」と説明した。
済州市は臨時住民登録番号を付与するために、成人している長女と次女の指紋を採取するとともに、3か月間の生活費を支援する緊急支援制度を申請した。遺伝子検査を実施した上で家庭裁判所での裁判によって三姉妹がBさんの子どもであることを確認し、出生届を受理して住民登録番号を付与できるよう支援する計画だ。
済州市の関係者は「一人目の子から25年間、出生届を出していないという非正常的な状況だが、幸い母親と子どもたちは健康で、カウンセリングも問題なくできる正常な状態」だとして「子どもたちだけでほとんど家で過ごしていたとみられるが、明るい様子だった」と話した。