金融・財政
米・日バブル崩壊の引き金となった利上げ、韓国の住宅価格も急落するのか(下)
■急激な物価上昇、加速する米国の利上げスケジュール
米FRBが急激な物価上昇を受け、当初予想よりも早く22年に3回、23年に3回の利上げを実施すると示唆している。世界各国の金利は米国の政策金利による影響を受ける。米国の利上げが近づき、世界各国は先手を打つ形で利上げに動いている。
物価が上昇しているロシアの政策金利は今年3月以降、7回にわたり引き上げられ、最高8.5%に達した。年初に4.25%だった政策金利はほぼ2倍に上昇したことになる。ブラジルも年初の政策金利は過去最低の2%だったが、7回連続利上げで現在9.25%だ。英国も最近3年ぶりに利上げを行い、政策金利を0.1%から0.25%に引き上げ、ノルウェーも政策金利を0.25%から0.5%に引き上げた。
トルコは大統領の公約を理由に利下げを実施したところ、資本流出で自国通貨トルコリラの価値が半分になったため、金融危機の可能性まで浮上している。トルコの逆行政策が招いた危機によって、各国の利上げペースが速まる見通しだ。既に2回の利上げを行った韓国は来年末時点で2回以上の利上げを経て、政策金利が1.5-1.75%に上昇するとみられている。
■米日は過去に住宅の過剰供給 韓国の場合は?
日本のバブル崩壊、米国のリーマンショックは利上げと同時に住宅過剰供給の一因だった。日本は80年代に年平均の供給戸数が136万戸だったが、バブル崩壊後の90年代には逆に144万戸に増えた。米国はリーマンショック前には年200万戸の住宅が供給されていたが、09-19年の供給は年50万-120万戸と供給規模自体が縮小した。このため、過去10年間で400万-600万戸の供給減となったとの分析もある。ゴールドマンサックスは来年の米国の住宅価格が16%程度上昇すると見込む根拠は供給不足だ。
利上げにもかかわらず、韓国の専門機関は来年も住宅価格が上昇すると予想している。韓国建設産業研究院は首都圏の住宅価格が3.0%、全国では2.0%上昇すると予想。住宅産業研究院は全国で2.5%の上昇を見込む。これら研究機関は供給不足があるため、住宅価格が下落する可能性は低いとの見方を示している。
■韓国政府、住宅供給拡充と融資規制で住宅価格抑制
専門研究機関による供給不足論に対し、国土交通部は真っ向から反論。来年の住宅分譲戸数は今年の39万世帯(事前募集3万8000戸含む)から46万戸(事前募集7万戸)に増えると主張する。
国土交通部は住宅入居戸数が今年の46万戸から来年は49万戸、23年には54万戸に増えると予想した。しかし、ソウルは来年、マンション入居戸数の減少が市場の不安要因になる可能性がある。ソウルのマンション入居戸数は今年の4万2000戸から来年は3万6000戸に減少する。しかし、23年には4万8000戸に増加が見込まれる。首都圏では今年が18万6000戸、来年は19万1000戸、23年は23万3000戸と増加が続く。
融資規制も不確実性を伴う。韓国政府は来年の家計債務の増加率を4-5%に抑えようとしている。コロナ以降の低金利政策で家計債務の増加率は10%に迫っている。政府は来年1月から家計債務が2億ウォンを超える場合、7月からは1億ウォンを超える場合、総負債元利金返済比率(DSR)規制を採用する。DSR規制対象となれば、年間の元利償還額が年収の40%(ノンバンクは50%)を超えた場合、追加融資が受けられない。借入額が既に1億ウォンを超えている593万人は来年7月から所得によって無担保融資など追加融資を受けられなくなる。
■大統領選後、政策が分水嶺迎える可能性
現時点で来年の住宅価格を即断するのは容易ではない。利上げの幅とペースなど不確定要素が多いためだ。来年の大統領選も変数となる。野党の尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補だけでなく、与党の李在明(イ・ジェミョン)候補も住宅供給の拡大を公約に掲げており、複数住宅所有者に対する譲渡税猶予などの政策を講じるとしている。尹候補は総合不動産税引き下げ、譲渡税猶予、再建築規制緩和などの政策を公約に掲げ、李候補も最近、「複数住宅所有者の譲渡税一時緩和」の必要性を強調している。近く画期的な住宅供給拡大政策も発表する予定だ。
車学峯(チャ・ハクボン)不動産専門記者