国民の力の金起ヒョン(キム・ギヒョン)院内代表は同日、「公捜処は政権の保衛処を自称する『恐怖処』だという実態が明確になりつつある」とし、金鎮ウク処長の辞任と公捜処の解体を要求した。コロナ感染が判明して自宅で治療を受けてきた金院内代表は同日から業務に復帰し、「現在公捜処が捜査している事件12件のうち4件が国民の力の大統領候補、尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏に関するものだ。公捜処の捜査対象となる幹部公務員は7100人いるが、与党の大統領候補1人にほぼ全ての捜査力を投入している」と指摘した。現政権が野党の反対を押し切って設立した公捜処が批判勢力弾圧騒動を自ら招いたとの主張だ。

 

 これまでに明らかになっている部分だけで、公捜処は160人余りに対し、300回以上の通信資料照会を行った。文在寅(ムン・ジェイン)政権に批判的な野党政治家、ジャーナリスト、司法関係者、教授らが主な対象とされる。このため、野党からは「公捜処が無差別的な裏調査を行った」との声が漏れる。

 特に公捜処が現政権の「検察改革」の方向に批判的な立場を示してきた韓国刑事訴訟法学会の会員に対しても通信資料を照会していたことが確認され、波紋を呼んでいる。刑事訴訟法学会は昨年8月、法務部法務・検察改革委員会が検察総長の捜査指揮権廃止を勧告すると、「検察が政治に従属した」と反対を唱えた。当時、秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官が検討した携帯電話ロック解除強制法案についても、「憲法に反する発想であり、全裸でボディーチェックを受けるよりもひどい基本権侵害だ」とする声明を出した。丁雄ソク会長は本紙の電話取材に対し、「公捜処が捜査対象ではない教授を犯罪者扱いすることは理解できない」と話した。

 公捜処だけでなく、軍の監察部門もセクハラ被害を受けた空軍中士(軍曹)の死亡事件を捜査するに当たり、本紙の国防部担当記者、野党補佐官、弁護士らの通信資料を照会したことが分かった。これについて、国防部は「国防部監察団は被疑者の被疑事実を確認するため、軍事裁判所から適法に令状の交付を受け、特定期間に被疑者と連絡を取っていた電話番号を確認した」と説明した。

 国民の力法律支援団長を務める劉相凡(ユ・サンボム)国会議員は「公捜処が通信資料照会について、捜査と関連がある点を立証できなければ、民間査察に当たり、言論の自由に対する侵害だ」と述べた。国民の力は同日、公捜処による査察疑惑に関連し、国会法制司法委員会を開き、経緯の究明を提案したが、共に民主党は否定的な立場を示した。民主党の尹昊重(ユン・ホジュン)院内代表は国民の力の金起ヒョン院内代表と会談後、「公捜処の捜査に影響を与えることは国会が自制すべきではないかと思う」と語った。

チェ・ジェフン記者、キム・ミョンソン記者、チュ・ヒョンシク記者

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