▲15日午前、ソウル市松坡区保健所の新型コロナウイルス感染症選別診療所(検査所)。写真=聯合ニュース

 韓国政府のウィズコロナ措置放棄宣言という事態は自ら招いた部分が大きい。ウィズコロナ措置後に発生する防疫状況に対する備えが不十分で、特に病床不足問題については予想すらできていなかった。統計庁モバイルデータによると、最近1週間(6-12日)の全国人口移動量は、強力な防疫対策措置が取られていた昨年同期間に比べて14.7%の増加だった。このような現象は1カ月前から始まっていた。ウィズコロナ開始から半月ほどたった11月第3週の人口移動量は前年同期比7.2%増で、同月第4週は12.6%、12月第1週は15.6%と増え続けた。業種別では観光地(15.4%)、大型アウトレットモール(12.8%)、商業地域(9.5%)、レジャースポーツ(9.3%)などで昨年に比べ訪れる人が多かった。人数制限などを突然解除したウィズコロナ措置施行直後から人口移動量が増え始め、これにより感染者が急増して病床不足問題が起こっているのだ。

 

 深刻な状況になり、専門家らが「防疫強化」を主張し続けても、政府は受け入れてこなかった。政府の政策決定に関与したある感染症専門家は「先月中旬以降から政府に強力な対応を促したが、だめだった」とした。

 アストラゼネカをはじめとするワクチン免疫効果が3カ月過ぎると最大で半分以下に減ることが分かったのにもかかわらず、ブースター接種を急がなかったことも批判されている。韓国の3回目接種は海外に比べ開始からして遅れている上、2回目接種率を引き上げるのに執着しすぎて、3回目接種を速やかに実施する機会を逃した、というのが専門家らの見方だ。複数の政府関係者らも「韓国の3回目接種開始がやや遅れたことは認める」と話している。14日までの3回目接種率は全人口の15.5%にとどまっている。

「来年2月から未成年者を対象に『防疫パス』の適用を拡大する」という案も、保護者らの反発で延期を検討している。政府は来年の大統領選挙を前に、自営業者や保護者らの顔色をうかがっていたが、手遅れになってから回りに押されて防疫対策措置強化を選ばざるを得なくなった、という指摘もある。

 中央事故収拾本部の孫映レ(ソン・ヨンレ)社会戦略班長は同日、重症者・死亡者の急増と関連して、「未接種者らに対する防疫パス強化対策と追加接種のペースを最大限引き上げ、急速に広めることこそ最も重要な対策だ」「(防疫対策措置強化により)社会全体の接触を減らしていく措置も必要だろう」と述べた。未接種者に対するワクチン接種もさらに加速化し、感染者発生数を引き下げる必要があるという意味だ。15日午前0時現在、1回もワクチンを接種したことのない人は824万人だという。

 同日午後に行われた日常回復支援委員会の防疫医療分科でも、専門家らは「強力な防疫対策措置を取らなければならない」と強調した。一部の出席者は「訪問時にマスクを外して対話する危険がある施設に対しては防疫パス適用対象に追加指定しよう」「首都圏では私的な集まりの人数を2人にまで減らそう」と主張した。だが、自営業者らは「急激な防疫対策措置強化一辺倒は困る」「損失補償システムの改編が必要だ」と反発した。

ソン・ジョンミン記者、キム・ジョンファン記者

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