大谷翔平(27)=ロサンゼルス・エンゼルス=が高校時代からしていた自己啓発法は、1979年にクローバ経営研究所の松村寧雄所長が考案した「マンダラチャート(マンダラート)技法」だ。大谷は高校時代の野球部監督にこの方法を紹介してもらい、自分でやるべきことを決めて実践した。マンダラートという名前は、使用する図表が仏教図の様式「曼陀羅(まんだら)」に似ていることから付けられたものだ。

 原理は難しくない。縦横3列×3段からなる9つの大きなマスのうち、中央のマスに中心となる最終目標と8つの細部目標を書く。次に、その8つの細部目標をそれぞれ3×3で並ぶマス目の中心に書き、それぞれの細部目標を達成するために求められる具体的な実践課題を周囲の8マスに書いていく。こう書いていくと64の実践課題が完成する。

 高校時代、大谷は「ドラ1 8球団(日本プロ野球8球団からドラフト1位指名)」を中心目標とし、これを達成するために「体づくり」「コントロール」「キレ(球威)」「スピード(球速)160㎞/h」「変化球」「運」「人間性」「メンタル」を8つの細部目標に決め、それぞれ8つの実践課題を書き込んだ。

 目標を達成するための実践課題は具体的だった。例えば、「体づくり」という細部目標を達成するために丼飯を朝3杯、夜7杯食べるという課題を設定して実践した。大谷のこうしたものすごい努力は今も続いている。大谷は今シーズン開幕前、鶏肉や果物、乳製品などを中心にしたメニューを1日7食ずつ食べ、ウエイトトレーニングに力を入れて体重を95キログラムから102キログラムに増やした。これは今シーズンの大活躍の基礎となった。

 コントロールを良くするためには「軸をぶらさない」「リリースポイントの安定」「インステップ改善」などの実践課題が挙げられている。キレを増すためには「リストの強化」「回転数アップ」「ボールを前でリリース」「角度をつける」という実戦課題を定めた。

 また、時速160キロメートルの速球を投げるためには「肩周りの強化」「下肢の強化」「ライナーキャッチボール」を挙げている。大谷の過去最高球速は2016年に日本プロ野球で記録した時速165キロメートルだ。大谷はまた、速球だけでは成功できないと考え、変化球も「フォークボール完成」「スライダーのキレ」「遅く落差のあるカーブ」を自由自在に駆使し、勝負と制球力を高めるという実戦課題を立てて、一つ一つ実践していった。打者が対処しにくいように、「ストレートと同じフォームで投げる」という実戦課題もある。

 大谷は野球選手としての技術力向上はもちろん、メンタルや人間性など人格的な分野についても深く考えていた。高校時代にメンタルを鍛えるため「一喜一憂しない」「波をつくらない」「頭は冷静に 心は熱く」などの課題を実践した。人間性という細部目標では「愛される人間」「信頼される人間」「継続力」「思いやり」などを実戦課題にした。このように着実に努力し続けた結果、大谷は現在、誰よりも平定心をよく保つ選手として高く評価されている。

チャン・ミンソク記者

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