IT産業
半導体大乱で復活…韓国ファウンドリー企業DBハイテック、受注断るほど注文殺到
京畿道富川市にある半導体ファウンドリー(受託生産会社)DBハイテックの工場。その正門には半導体ウエハーと生産に必要なさまざまな化学製品を積んだ大型トラックがひっきりなしに出入りしていた。昼食時間になると、数百人の従業員が駆け足で構内の食堂に向かった。ある従業員は「最近はラインが連日フル稼働しており、食事も取る暇がないほど忙しい」と話した。DBハイテックは最近の注文殺到で富川工場と陰城工場(忠清北道)のファウンドリーを100%稼働している。来年第3四半期まで受注が一杯で、一部は断っているほどだ。DBハイテック関係者は「今年上半期に半導体生産量をウエハー基準で4万枚近く増やしたが、生産が需要に追い付かない」と話した。
「みにくいアヒル」だったDBハイテックが世界的な半導体供給不足に便乗する形で復活している。10年以上赤字を出し続け、DBグループ内から「事業売却もできない」との声が漏れていたお荷物企業がグループを代表する孝行企業へと変身を遂げている。DBハイテックは半導体供給不足の深刻化で年初来、TV・家電用の電力管理半導体(パワーマネジメントIC)、車両用マイクロコントロールユニットなど主力製品の需要が急拡大し、会社設立以来最高の好況に沸いている。DBハイテックは12日、第3四半期(7-9月)の売上高が3284億ウォン、営業利益が1190億ウォンだったと発表した。いずれも過去最高だ。第3四半期の営業利益率(36%)も四半期ベースで過去最高だった。通期の売上高は今年、初めて1兆ウォンを突破する見通しだ。
■赤字3兆ウォンからの復活
DBハイテックは長期にわたってDBグループのお荷物だった。DBハイテックは2002年に亜南半導体を買収し、半導体ファウンドリー市場に参入したが、いばらの道だった。ドットコムバブルの崩壊で半導体不況が訪れ、最初の10年間は毎年2000億-3000億ウォンの赤字が続き、累積赤字は3兆ウォンを超えた。東部グループの金俊起(キム・ジュンギ)会長がDBハイテックに私財3500億ウォンを注入し、生き長らえなければならなかった。
DBハイテックは2015年に半導体好況を追い風として黒字転換に成功し、業績が回復し始めた。稼いだ資金を研究開発(R&D)に投資し、米半導体メーカー出身の開発人材を大量採用した。製品群もパワー半導体だけでなく、スマートフォン・自動車・監視カメラ用のイメージセンサー、有機発光ダイオード(OLED)テレビ用のディスプレー駆動チップなど幅広い分野に拡大した。昨年米国が中国最大のファウンドリーである中芯国際集成電路製造(SMIC)に米国内の生産設備の使用を認めない制裁を発動すると、中国メーカーによる注文が殺到し、中国の顧客が150社にまで増えた。半導体業界関係者は「これまでパワー半導体など旧型のアナログ半導体は相対的に収益性が低く、台湾積体電路製造(TSMC)のような大企業ではほとんど生産していなかった。電気自動車(EV)への転換で車両用チップの不足が起き、DBハイテックのように恩恵を受けている」と指摘した。
■立場が逆転したファウンドリー
最近の世界的な半導体供給不足で復活したファウンドリーはDBハイテックだけではない。自動車・産業機械用のパワー半導体を生産する米マイクロチップ・テクノロジーはコロナ前には中国メーカーによる価格攻勢で業績が悪化し、廃業の危機に直面したが、今年に入ると注文が殺到し、起死回生を遂げている。同社は半導体生産量が顧客の発注量の半分にも満たないため、工場をフル稼働している。今年第3四半期には営業利益が前年同期に3倍、売上高は26%増加した。
半導体供給不足は市場でのファウンドリーの立場も変えている。米中小半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクスは最近、顧客が注文後90日以内であればいつでも注文をキャンセルできるように方針を変え、少なくとも1年間キャンセルや変更がない企業にだけ半導体を供給することを決めた。米ニューヨーク・タイムズは「世界的な半導体不足現象で長期間にわたり弱い立場だった旧型アナログ半導体メーカーが今は絶対的優位に立っている」と分析した。
崔仁準(チェ・インジュン)記者