話題の一冊
「私は三流選手だった」孫興民の父の告白
【新刊】ソン・ウンジョン著『全ては基本から始まる』(スオ書斎刊)
彼は自分のことを「三流選手だった」と語る。生活に余裕はなかったが、それでも彼は早朝と夜中に一人で練習を続け、汗が染みた練習着の塩っ気だけを払い落としてもう一度着た。春川高校在学中に青竜旗サッカー大会でハットトリックを記録し、新聞などで大きく報じられたこともある。24歳だった1986年に韓国代表となり、韓国プロサッカー・Kリーグの選手としても活躍した。その彼が「三流」とはどういうことか。
世界的なサッカー選手でスターとなった孫興民(ソン・フンミン)を育てた指導者で父のソン・ウンジョン氏のエッセーに書かれた内容だ。「人間ソン・ウンジョン」についての記録であり、同時に息子に向けた温かい告白でもある。読む者には時に厳しいムチにもなるだろう。けがで28歳の若さで引退した彼は掃除や肉体労働などどんな仕事でもやった。「工事現場で足場を上がるとき、誰かが気付かないか内心ビクビクしていた。そんな自分自身が恥ずかしかった。仕事が恥ずかしかったのではなく、それを恥ずかしいと思うことが恥ずかしかった」
文章の最初と最後に「謙遜」と「感謝」が必ず出てくる本。彼は中国のことわざ「人怕出名 豬怕肥」を引用し「人間は有名になることを恐れ、豚は太ることを恐れなければならない」と強調する。ファンや親はもちろん、最近ニュースで何度も報じられる政治家たちが必ず読むべき本だろう。284ページ、1万6000ウォン(約1500円)。
崔宝允(チェ・ボユン)記者