慰安婦
初雪の日に再開された正義連の水曜集会…少女像の前は進歩・保守団体の衝突で「修羅場」
「段階的な日常の回復(ウィズコロナ)」と共に、これまで中断されていた「水曜集会」も再開された。しかし、集会の場所をめぐって市民団体同士が対立し、少女像の前で小競り合いまで起きた。
ソウル市鍾路区の旧日本大使館前にある慰安婦被害者を象徴する「平和の少女像」前では、進歩系の大学生団体「反安倍反日青年学生共同行動(反日行動)」と、保守系団体「自由連帯」が、警察の設置した規制線を挟んでそれぞれ集会を開いた。少女像の前は両団体とユーチューバー、警察などが入り乱れ、叫び声の中で小競り合いが繰り返されて修羅場となった。
自由連帯側の集会参加者は、トラックの上で「日本軍慰安婦はうそ」「(日本軍性奴隷制問題解決のための)正義記憶連帯と進歩団体が歴史を歪曲(わいきょく)している」と主張した。これに対し、反日行動側は「少女像の撤去を主張する親日派は引っ込め」と応酬した。
自由連帯は「自由連帯が先に確保した場所で、反日行動が違法デモを行っている」と主張し、警察に対し即時逮捕するよう求めた。鍾路警察署はこの日「集会法に基づいて、先に場所を取った自由連帯が集会を行っているため、反日行動がここで集会を行うのは違法」だとして「自主的に撤収し、解散するように」と何度も警告した。さらに「前日も自由連帯側の1人、反日行動側の1人が現行犯で逮捕された」と説明した。
両団体は、正義記憶連帯が少女像前で開催している定例水曜集会の場所取りをめぐり、神経戦を繰り広げてきた。集会およびデモに関する法によると、集会を開催するためには、主催者側は720時間(30日)前から48時間(2日)前の間に管轄の警察署に開催申請書を提出しなければならない。自由連帯は警察署の前で夜通し待機し、少女像の左右の歩道と車道1車線について11月分の24時間の集会開催を届け出た。このため正義記憶連帯は、少女像から約10メートル離れた聯合ニュース社屋前で水曜集会を開催せざるを得なかった。
この日、自由連帯と反日行動の対立は早朝から続いた。午前5時40分ごろ、少女像前に徹夜で待機していた反日行動のデモ隊の前に、自由連帯がトラックを停車させた。午前11時ごろには反日行動のメンバーたちが自由連帯側に抗議し、小競り合いが起きた。駐車場に入ろうとした保守団体の車と反日行動のメンバーの間での衝突も起きた。両団体のにらみ合いは、正義記憶連帯の水曜集会が終わった午後1時以降も続いた。
正義記憶連帯は午前11時30分から、自由連帯と反日行動が対峙(たいじ)する場所の横の歩道で水曜集会の準備を始めた。正義記憶連帯はこの日、文書による声明で「今日も確実に、日本軍性奴隷制の問題解決に向けた1517回目の訴えを続けている」として「日本政府は日本軍の性奴隷制問題を認め、被害者たちに正式に謝罪し、法的賠償を実施せよ」と発表した。すると、自由連帯側はマイクを持って「性奴隷という表現はうそ」「体を売ったのが自慢なのか」などとヤジを飛ばした。
周辺のオフィスに勤める人たちは不満を訴えた。中区に勤務する会社員のイさん(27)は「集会参加者が刺激的な言葉で叫んでいるため、朝から耳障りだった」「お昼を食べて会社に戻りたいのだが、道がふさがっているためあまりに不便だ」と話した。会社員のパクさん(31)も「歴史を正し、日本軍慰安婦のおばあさんたちの悔しさを晴らしてあげたいという思いには大いに共感するが、少女像の前で両団体が争う様子を見ると心が痛み、怒りも沸いてくる」と話した。
警察側は、違法集会が続く場合は法に従うと明らかにした。鍾路区庁は、少女像に対する施設保護要請を警察に提出した。これに対し鍾路警察署は「団体間の衝突によって少女像が損壊されるなどの被害が発生すれば、関係者を全員、現行犯で逮捕する」と話した。さらに「反日行動が違法集会を続ける場合、集会およびデモに関する法の第20条1項、第6条1項などに則って法を執行する」と説明した。