話題の一冊
「世界地図に『東海』表記をもっと増やすにはグーグルやユーチューブなどグローバル企業の説得を」
『紛争地名・東海』を出版した周成載教授、17年にわたり東海の名称PRに尽力
韓半島と日本の間の海は、韓国にとっては「東海(East Sea)」、日本にとっては「日本海(Sea of Japan)」だ。世界地図でここがどのように記されるかは、両国国民にとってはデリケートな問題だ。2014年にスウェーデンの家具メーカー、イケアが作った地図に、ここが「日本海」と表記されていることが分かり、韓国国内に進出する前から不買運動が起きた。イケアが直ちに修正すると、今度は日本国民が反発した。
「地理学的名称に関する国連専門家グループ」(UNGEGN)の副議長を務めている周成載(チュ・ソンジェ)慶煕大学地理学科教授(59)が打ち出した解決策は「事あるごとにデリケートに反応するよりも、二つの名前を併記することが必要ということを認めて対応しよう」というものだ。周教授は2日、本紙のインタビューで、およそ17年にわたり国際社会に「東海」という名前を伝える活動を行ってきたことを明かした。周教授は最近、『紛争地名・東海、現実と期待』という本を通して、韓国でおよそ30年続いてきた「東海について知らせる」活動を網羅し、彼が考える解決法を紹介した。
2004年の第10回「海の名称に関する国際セミナー」に討論者として参加するまで、周教授にとって東海は「韓国の地理学者であれば関心を持たねばならないという程度」の意味しかなかったという。周教授が米国に留学していた1980年代末の時点でも、ここを「東海(East Sea)」と書いたら、周りから「ここは日本海(Sea of Japan)じゃないのか」と訊かれることが多かった。日本が先に国際社会に進出したため、日本海と書く方が当然だったのだ。
1992年の国連地名標準化会議で韓国政府が問題提起を行い、「東海」という名前が公式の席上で議論され始めた。韓国国内では95年から、社団法人東海研究会が「海の名称に関する国際セミナー」を毎年主管し、世界の専門家らと共に解決策を探った。セミナーを組織したイ・ギソク・ソウル大学教授が周教授を招いたことが、周教授にとって、東海という名前の研究のスタートになった。それまで産業の立地などを扱う経済地理学を専攻してきた周教授が、その後は全く異なる道へ入っていくことになったのだ。
周教授は「東海を何と呼ぶかという問題は『独島は韓国の地』とは異なる。区別してアプローチしてこそ、合理的な解決策も見つけられる」と語った。独島は韓国領であることが明らかで、譲歩の余地は全くないが、東海の名称については双方で異なる呼び方を受け入れ、東海・日本海を併記するのが合理的代案になり得るという。周教授は、今では地名は国際機関だけでなくデジタル環境でどのように呼んでいるかもデリケートな問題になったとし「グーグル、ユーチューブなどグローバル企業を対象に説得に乗り出すべき」と語った。「特に、ユーザーが直接情報の生産者になり得る今の環境は、むしろ韓国にとって有利」と強調した。
チェ・アリ記者