自動車産業
トヨタ、バイデン米政権の親労組政策を新聞広告で真っ向批判
「環境・労働者・消費者を使った政治プレーはやめよう」
世界最大の自動車メーカー、トヨタが2日、ウォール・ストリート・ジャーナルなど米主要日刊紙に挑発的なフレーズの全面広告を掲載した。広告は米バイデン政権と民主党が推進している「労組優先主義」の電気自動車(EV)政策に真っ向から異を唱えたものだ。米政府・与党は労組がある自動車工場で生産したEVについて、既存の税額控除(最大7500ドル=85万5000円)に4500ドルを上乗せする法案を提案している。しかし、法案は事実上米国製EVの購入を奨励する「バイ・アメリカン」政策だとする批判が出ている。
米自動車業界は「ビッグスリー」と呼ばれるGM、フォード、ステランティスにだけ労組が結成されており、トヨタ、ホンダ、現代・起亜、フォルクスワーゲンなど大多数の外資系自動車工場には労組がない。米国に進出した外資系自動車メーカーは「スト権」よりも「働く権利(right to work)」を保障する法制と文化が定着した南部に主に工場を設けているからだ。日本だけでなく、ドイツ、韓国の自動車メーカーと労組がないテスラも今回の法案に猛反発している。トヨタの広告はそうしたムードの中で掲載されたものだ。
トヨタは広告で「これは公平でも正しくもない。議会は政治を切り離し、正しいことをすべきだ。全ての米国の自動車労働者を公平に扱ってもらいたい」と訴えた。トヨタはまた、「(法案は)労組に加入しない自動車労働者の労働価値が4500ドル少ないと言っていると同じだ」と批判した。
これに先立ち、主な外資系自動車メーカー12社の役員は10月29日、カリフォルニア州選出の上院議員2人に法案への反対を求めた。日本、欧州連合(EU)、カナダ、メキシコなど25カ国の駐米大使も米議会指導部に抗議の書簡を送った。韓国自動車産業協会も先月、米下院に抗議の書簡を送った。ソウル大の安徳根教授は「法案は国産製品優遇を禁止する世界貿易機関(WTO)のルールに反する。バイデン政権がトランプ政権に奪われた米ブルーカラーの支持を得るため、行き過ぎた労組中心政策を取っており、自動車業界も『まさか』とは思いながら懸念が大きい」と指摘した。
柳井(リュ・ジョン)記者