米ホワイトハウスは韓国、英国、日本などの同盟国や友好国など30カ国と共に「ランサムウェア対応イニシアチブ会議」を遠隔で開催する方針を先日発表するなど、サイバー犯罪への対応を重視する姿勢を示しているが、このような中で韓国と米国が協力して検挙したハッカーが米国に引き渡され、現地で最初の裁判が開かれた。ランサムウェアとは身代金(ランサム)とソフトウェアの合成語で、サイバー攻撃によって重要ファイルを暗号化して使えないようにするものだ。犯罪組織はこれを使えるようにする見返りに金品を要求する。

 米法務省は28日(現地時間)、ロシア出身のウラジミール・ドゥナエフ容疑者(38)がオハイオ州の北部連邦裁判所にはじめて出廷したことを明らかにした。ドゥナエフ容疑者は世界的なサイバー犯罪組織「トリックボット・グループ」に加担した疑いで逮捕された。「トリックボット・グループ」はコンピューターウイルス「トリックボット」を開発したことで知られている。ドゥナエフ容疑者は今年6月2日、米法務省からの緊急の犯罪人引き渡し請求を受けた韓国政府当局により仁川国際空港で逮捕された。一審制の犯罪人引渡し審査を経てソウル高裁が引渡しを許可し、今月20日に米国に移送された。

 トリックボットはロシア語を使うハッカーが主に使用するコンピューターウイルスで、感染したコンピューターからネットバンキングのログインに必要な個人情報やクレジットカード番号、電子メールアドレスやそのパスワードなどを盗み出す。ハッカーはこれらの情報を使い被害者の口座から別の口座に数万-数十万ドル(数百万-数千万円)を送金し、これを複数のルートで資金洗浄し現金を奪う手口を使ってきた。新しいバージョンのトリックボットは感染したコンピューターに保存されている情報にアクセスできないようロックし、これを解除する見返りに巨額の現金を要求する「ランサムウェア」の機能も持つという。

 米法務省によると、ドゥナエフ容疑者と仲間の組織員らは2015年11月から昨年8月まで全世界の学校、銀行、企業などのコンピューターにトリックボットを感染させた。その上で米国の企業や個人などから盗んだ額は200万ドル(約2億3000万円)以上に達するという。ドゥナエフ容疑者はトリックボットが計画通り機能しているか管理し、セキュリティソフトの追跡を回避する方法の開発担当だったという。米法務省は「全ての容疑で有罪が確定すれば、ドゥナエフ容疑者は最大で懲役60年が宣告される可能性もある」とコメントした。

ホーム TOP