韓国政府が「環境にやさしいグリーンエネルギー」の範ちゅうに、無炭素エネルギー源である原子力を入れないことを決めた。その一方で、二酸化炭素を出す液化天然ガス(LNG)は範ちゅうに入れた。グリーンエネルギー投資の発祥の地である欧州連合(EU)では現在、原発の安全性や環境に対するやさしさを認める研究結果をもとに、原発を「グリーンエネルギー」に分類しようという議論が活発だが、韓国政府は脱原発政策を加速化させている。

 26日に公開された環境部の「韓国型グリーン分類体系および適用ガイド案」によると、太陽光・風力・水力やLNG発電、エコカー製造を含む計61の産業分野が「グリーン経済活動」と認められた。だがその一方、原発や原子力を利用した水素生産といった原子力関連内容はすべて排除されている。「韓国型グリーン分類体系」とは、温室効果ガス削減や気候変動適応・環境改善に寄与する活動を分類したリストだ。「Kタクソノミー(taxonomy=分類体系)」とも呼ばれる。850兆ウォン(約83兆円)とい資産規模の国民年金などが来年からKタクソノミー投資決定に活用される予定だ。

 政府は産業界や市民団体などの意見集約を経て、年末までにこれを確定する予定だ。今年4月に環境技術産業法が改正され、グリーン分類体系作りの作業が開始されてから6カ月という「スピード戦」だ。韓国科学技術院(KAIST)のチョン・ヨンフン教授は「結局は原子力関連技術開発に対する資金調達が滞り、再生可能エネルギーの方にだけ投資が集まるだろう。政府の無理な脱原発政策の延長線上にある」と評した。

 環境部は今年7月、野党・国民の力の権寧世(クォン・ヨンセ)議員に提出した回答で、「EUの分類体系確定が遅れている点を考慮し、十分な意見集約を経る」と述べた。しかし、EUの分類体系はまだ確定していない状況であるのにもかかわらず、韓国政府は先に原発をグリーンエネルギーから外すことに決めたものだ。

 EUでは現在、原子力の全周期安全性を立証した専門家評価結果が出された状況だ。また、原発をグリーン分類体系に含めるかどうかをめぐり、深い議論が行われているところだ。欧州委員会(EC)は昨年3月、「原発が気候変動緩和に実質的に寄与するという明確な証拠がある」として、追加の安全評価を依頼した。これに加えて今年3月、欧州委員会共同研究センター(JRC)が「風力・太陽光などに比べ、原子力が環境と健康にさらに有害だと見る科学的根拠はない」という内容の「原子力環境影響評価」報告書を出した。

 これによると、韓国やヨーロッパなどが現在建設している第3世代原発は約100年間の稼働で生産される電力量1兆㎾h(キロワット時)当たりに重大事故で出る死者数が0.0008人、第2世代原発は0.5人と分析されたという。同量の電気を生産する場合、太陽光は0.03人、陸上風力は0.2人、海上風力は1人などとなっている。温室効果ガス排出量の場合、原発は100万kWh当たり28トンで、太陽光(85トン)の3分の1程度と評価された。エマニュエル・マクロン仏大統領とボリス・ジョンソン英首相がカーボン・ニュートラル(炭素中立)達成のために小型モジュール原子炉(SMR)開発方針を明らかにするなど、欧州は気候変動対応の見地から原発拡大に乗り出している。

 一方、政府はLNG発電については「2030年まで一時的にタクソノミーに含めた」と説明した。これに対して、社団法人「気候ソリューション」は「LNGの生産から消費までの温室効果ガス排出は石炭発電の70%だ。気候対応の趣旨に反する」としている。だが、ソウル科学技術大学のユ・スンフン教授は「エネルギー投資が委縮しないよう、2030年以降もLNGをタクソノミーとして認めるべきだ」と語った。

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