ゴルフ
1988年「韓国の女性もゴルフやるのか」…今や「全米オープンは韓国人大会」
韓国人選手の全米女子プロゴルフ(LPGA)ツアー通算200勝は、LPGAツアーのトップ選手・高真栄(コ・ジンヨン、26)と、LPGAツアー進出を狙う韓国女子プロゴルフ(KLPGA)ツアーのスター選手・イム・ヒジョン(21)が逆転また逆転という名勝負の末、決まった。
高真栄とイム・ヒジョンが激しくぶつかったLPGAツアー「BMW女子選手権」(賞金総額200万ドル=約2億2700万円)のプレーオフが24日、釜山LPGAインターナショナル(6726ヤード・パー72)の18番ホール(パー4)で行われた。高真栄がホールまで202ヤードを残して打ったセカンドショットがグリーンに落ちた後、転がってホールまであと1メートルを切る地点に止まると、見守っていた大会関係者らは歓声を上げた。高真栄が韓国人選手のLPGAツアー通算200勝と世界ランキング1位奪還を事実上、確定した瞬間だった。
第3ラウンドまでイム・ヒジョンに4打差の2位だった高真栄は、この日8バーディーでイム・ヒジョンと並ぶ通算22アンダー・266打をマーク、そして最後にはプレーオフのバーディーで200勝というドラマを生み出した。1988年の具玉姫(ク・オッキ)をはじめ、33年間かけて48人が合作した歓喜と涙のドラマだった。197・198・199・200回目の優勝者である高真栄は「ちょうど韓国で行われた大会で200勝の主人公になることができたというのが、これ以上ないほど大きな名誉であり、幸運だ」と語った。
■「パイオニア」具玉姫と「25勝伝説」朴セリ
具玉姫・元KLPGA会長(1956-2013年)は1988年3月のLPGAツアーの「スタンダード・レジスター・ターコイズ・クラシック」で優勝し、それから10年後に始まる「LPGAにおけるコリアンパワー」を予告した。当時、米国人記者が具玉姫に近づき、「韓国の女性たちもゴルフをするのか」と尋ねるほど、韓国女子ゴルフは世界の舞台で無名の時代だった。日本で活躍していた高又順(コウ・ウスン、57)が1990年代に日本で行われたLPGAツアーで2連勝し、韓国人選手としての2勝目と3勝目を記録した。
具玉姫は韓国女子ゴルフの開拓期を象徴する人物だった。京畿道高陽市内のゴルフ場でキャディーとして働いていた具玉姫は、1978年に初めて行われた韓国プロゴルフ協会(KPGA)の女子プロテストで、カン・チュンジャ、アン・ジョンヒョン、ハン・ミョンヒョンらと共に韓国女子プロゴルファー第1号になった。ゴルフ場の客に借りたゴルフクラブを手に、同じく借り物の足に合わないシューズを履いて臨んだテストだった。具玉姫は韓国人選手100勝のニュースを聞いた時、「私が韓国女子ゴルフの第一歩を踏み出したとしたら、朴セリ(パク・セリ)は韓国女子ゴルフの印象を変えた。『セリ・キッズ』と呼ばれる後輩たちは、彼女に劣らないスターに成長した」と喜んだ。
■朴セリとセリ・キッズが成し遂げた「サウスコリアン王朝」
「ゴルフの女帝」朴セリ(44)はLPGAツアーで25回優勝し、韓国女子プロゴルフを花開かせたスターだった。
アジア通貨危機が韓国を襲った1998年にLPGAツアー・デビューを果たした朴セリは、初優勝を同年5月のメジャー大会「マクドナルドLPGA選手権」で達成した。初の韓国人メジャー大会優勝だった。同年7月に朴セリがプレーオフの末、優勝した全米女子オープンで見せた「はだしの闘魂」(はだしになって池に入り、球を打ったエピソード)は韓国女子ゴルフの象徴的なシーンになった。その姿を見てゴルフに対する夢をはぐくんだ「セリ・キッズ」たちが韓国女子ゴルフ神話をさらに生み出した。米国人女子プロゴルファーのジェシカ・コルダ(28)は「韓国の選手たちは必ず1人の選手のように(一致団結して)一生懸命練習して、最後まで食い下がる」と言った。コルダの言葉のように「サウスコリアン」という名の韓国人選手たちは常に優勝カップを手にし続けた。米紙ニューヨーク・タイムズは「韓国人選手たちが支配する全米女子オープンは『全米サウスコリアン・オープン』と呼ばなければならなさそうだ」と表現した。
「セリ・キッズ」のトップランナー格である朴仁妃(パク・インビ、33)は4大メジャー大会優勝と2016年のリオデジャネイロ五輪で112年ぶりに正式種目に復帰したゴルフで金メダルを取り、ゴルフ選手としては唯一、ゴールデンスラム(キャリアグランドスラム+オリンピック金メダル)の主人公になった。2015年、2017年、2019年に韓国人選手たちはLPGAツアーで1シーズンの半分に当たる15勝ずつを挙げた。2012年に柳簫然(ユ・ソヨン)が100勝を記録するまで24年かかったが、それから200勝までは9年しかかからなかった。
■高真栄、4カ月ぶりに再び世界1位
高真栄は最近2大会連続優勝で今季LPGAツアー選手の中で最多の4勝を達成した。現在、日本ツアーで活躍中の申智愛(シン・ジエ、33)と共に韓国人選手の中で4番目にLPGAツアーで優勝回数が多い選手(通算11勝)となった。また、今回の大会に参加したネリー・コルダ(23)=米国=を抑え、4カ月ぶりに世界1位の座を取り戻した。さらに、今年の選手ランキングでもコルダ(161点)を抜いて1位(176点)に浮上した。高真栄は「(イム)ヒジョンが米国に進出することを私は心から願っていた。ヒジョンに申し訳ないことになった」と語った。この日、プロデビューして初めてプレーオフに臨んだそうだ。
高真栄は「今年の初め祖母を亡くしたが、新型コロナ禍と試合に備えるために韓国に行けず、ゴルフに対して懐疑心を抱くようになってしまい、つらかった」「8月の東京五輪の時、自分のゴルフに納得がいかなくて、それから1カ月間、練習場とジムだけ行き来してジュニア時代のように練習した」と言った。「ジュニア時代は『こんなに練習していたら今日死ぬかもしれない』と思ったほど練習したこともある。プロになっても進歩し続けたいなら、ジュニア選手のころの心構えが必要な時がある」。高真栄は1週間ほど韓国に滞在してスイングをチェックした後、今シーズンの残りの2試合に臨んで米国に戻る。