▲全羅南道高興郡の羅老宇宙センター研究棟から韓国型ロケット「ヌリ号(KSLV-2)が文在寅(ムン・ジェイン)大統領の出席する中で打ち上げられた。21日午後撮影。/NEWSIS

 「韓国が独自開発したヌリ号が発射に成功すれば、大陸間弾道ミサイル(ICBM)技術の確保に至る」との見方が出ている。宇宙発射体とミサイルはどちらもエンジンを燃焼させて推力を得る方式という点では同じだ。最後に衛星を積めば宇宙発射体、弾頭を搭載すればICBMと呼ばれる。

 

 しかしヌリ号をICBMだとは誰も疑っていない。建国大学の李昌鎮(イ・チャンジン)教授は「ヌリ号の酸化剤と使用された液体酸素は常にマイナス183度を維持する必要があるなど、保管の条件が極めて難しいため軍事用には適していない」と指摘する。軍事目的で使用する際には発射の準備が簡便で、なおかつ長期にわたり保管できる固体燃料が主に採用されている。

 もちろん北朝鮮のもののように液体燃料を使用するICBMも存在する。しかし韓国国防部(省に相当)は「過去に北朝鮮が発射試験を行った際には『人工衛星を発射した』と主張したが、これは長距離弾道ミサイルの発射試験を偽造したものだ」と説明した。その根拠の一つとして北朝鮮が酸化剤に使用した赤煙硝酸(RFNA)が挙げられている。赤煙硝酸は常温だと液体状態で長期保管が可能なためミサイル用に適している。しかし毒性が強いことから宇宙発射体には使用されない。

 宇宙発射体とICBMはコインの表と裏のように基本的には同じ技術だが、北朝鮮の火星系列のICBMは宇宙発射体としては活用しにくいと分析されている。北朝鮮が2017年11月に試験発射に成功したICBM「火星15型」は最大射程距離が1万3000キロで、これは米国の全域を射程圏とすることができる。しかし全長は22メートルで、47メートルのヌリ号に比べてかなり小さい。その理由は生き残り確率を高めるため移動式の発射台に乗せられる移動式として開発されたからだ。最大射程距離1万キロメートルの火星14型はタイヤが14個のトラック、火星15型は18個のトラックで運搬される。これに対して宇宙発射体は固定式の発射台から打ち上げられる。

 エンジンの推力もヌリ号の方が北朝鮮のICBMよりも強いという。北朝鮮の火星15型は第1段ロケットに推力80トンのエンジン2基を結合して使用し、合わせて160トン前後の推力を持つと分析されている。これに対してヌリ号は300トンの推力を出すことができる。

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