裁判
火災現場から同僚を避難させた「義人」…全部うそだった /水原
ロシア旅行中に火災現場で韓国人同僚らの避難を助けてけがをしたといわれ、「義傷者」に選ばれた30代の人物が、実は「偽物の義人」だったことが判明し、裁判所で実刑を言い渡された。
7日、水原地裁刑事13単独のイ・ヘラン判事が、詐欺・偽計公務執行妨害、「義死傷者等礼遇および支援に関する法律」違反の罪で起訴されていたA被告に懲役2年を宣告し、法廷拘束したことが明らかになった。イ判事は「被告人は治療費の支給を受けようと虚偽の証拠資料を作り、利益を得た」とし「自身を英雄化して営利行為をしようとするなど、罪質は極めて悪いにもかかわらず、全く反省していない」と判示した。
被告はロシア旅行中の2018年1月28日未明、滞在していた宿泊施設で火事が起きたが、酒に酔っていて適時に避難できず、その後2階から飛び降りて、脊椎などに全治6カ月のけがをした。しかし被告は旅行者保険に加入しておらず、治療費を受け取れないで、義死傷者認定申請のため事件のでっち上げを始めた。
被告は「病院費だけで1000万ウォン(現在のレートで約94万円。以下同じ)以上かかるという。陳述書を書いてくれたら、保険会社からカネを受け取れる」と言って一行を説得し、目撃者陳述書を手に入れたという。当時、陳述書には「A氏が同じ部屋にいた一行のB氏を起こして脱出させたが、再び入っていって一行の残り6人の安全を確認していたため脱出が送れ、事故に遭った」という内容が記されていた。
被告は同年5月21日、水原市に陳述書など関連書類を提出し、義傷者5級に選定されて総額およそ1億2000万ウォン(約1120万円)の褒賞金を受け取った。それだけでなく、水原市の善行市民表彰を受け、ある大企業から「今年の市民英雄」に選ばれて賞金をもらった。
A氏が義人になりすましている「偽物」だということは、水原市に関連の通報があったことで発覚した。捜査の結果、A氏がB氏を起こして脱出させたのではなく、逆にB氏が泥酔して眠っていたA氏を起こしたことが確認された。下着姿で起きたA氏は、廊下を通って避難することが不可能になるや、部屋の中に戻り、窓の外へ飛び降りたことが分かった。