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ソウルから平壌までわずか1分15秒…米軍、極超音速兵器のテストに成功
米軍が27日(現地時間)、音速の5倍のスピードで飛ぶ極超音速ミサイルの試射に成功したと発表した。極超音速兵器は、従来のミサイル防衛(MD)システムでは迎撃が不可能で、戦争の構図を変えかねない「ゲームチェンジャー」と呼ばれる。中国やロシアも天文学的な予算を投じて極超音速兵器の開発に拍車を掛けており、3カ国間の戦略兵器開発競争が一段と激しくなる見込みだ。
米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)は27日に発表した声明で、先週に空軍と共に「外気吸入型極超音速兵器コンセプト(HAWC)」の発射テストを完了したことを明らかにした。今回発射テストが行われた極超音速ミサイルは、空軍の戦闘機に搭載して使用する兵器といわれている。このミサイルは先端技術が適用されたスクラム・ジェット・エンジンを積み、大気圏をマッハ5(音速の5倍)以上のスピードで飛び、目標物を打撃するという。時速およそ6200キロで飛行するという意味だ。ソウルから撃った場合、平壌上空までわずか1分15秒で到達できる。米空軍メディアの「エア・フォース・マガジン」は「ミサイルの速度以外に、射程など正確な諸元は公開されていない」と報じた。
大陸間弾道ミサイル(ICBM)は大気圏外まで飛んでいってから地上の固定目標を打撃するが、ほとんどの極超音速ミサイルは飛行機のように低い高度を飛び、瞬く間に地上または海上の目標物を攻撃する。スピードがあまりに速いため現在の技術では迎撃が難しく、遠隔操縦で軌道を変更できるので目標が何なのか把握することも困難という。核弾頭まで搭載すれば、現代戦において一挙に戦局を変えることのできる兵器、と評されている。
米空軍は、HAWCの他にAGM183A極超音速ミサイル(ARRW、空中発射即応兵器)の開発も行っている。ARRWは爆撃機などから発射され、マッハ20以上のスピードで標的を強打する。射程は1600キロ以上といわれる。トランプ前大統領は昨年5月、「われわれは今、驚くべき軍事装備を開発中だ。私はそれをすさまじいミサイルと呼んでいる」と発言したが、これはARRWに言及したものという見方が出ている。米空軍以外にもDARPAや海軍、陸軍などが独自にさまざまな極超音速兵器を開発しているといわれる。
中国とロシアは、この分野で米国より先行していると評価されている。ロシアは2019年末に中距離極超音速弾道ミサイル(IRBM)「アバンガルド」を実戦配備した。速度はマッハ20以上で、最大16発の弾頭を搭載できる。昨年には新型極超音速巡航ミサイル「ジルコン」の試射に相次いで成功した。マッハ8以上のスピードで飛んで米空母などを打撃できる、射程1000キロのミサイルだ。ロシア軍は2022年中に水上艦もしくは潜水艦などへ実戦配備するだろうといわれている。
中国も2019年10月の建国70周年軍事パレードで、極超音速ミサイル「DF(東風)17」を初公開した。DF17は核弾頭型の極超音速滑空体を搭載し、マッハ10以上で飛行する。こうした中ロの極超音速ミサイルは、米空母はもちろん在韓・在日米軍基地も狙っているとの分析がある。
中ロが米国のMDを突破しようと攻撃的に極超音速ミサイル開発に乗り出す一方、米国防総省はこれまでこの兵器の開発に消極的だったという。韓国軍事問題研究院が昨年3月に発行した「米陸海軍用共同極超音速滑空体試験 世界軍事動向リポート」によると、米国防総省はさまざまな類型の核弾頭弾道ミサイル、通常弾頭巡航ミサイルなどの開発・生産の方に重点を置いてきた。しかしトランプ政権時代の2018年、中国とロシアの開発スピードに危機感を覚え、遅まきながら極超音速打撃体の開発に優先順位を付与し、開発速度が上がり始めた。
3カ国の他、オーストラリア・日本・インドなども極超音速ミサイルの開発に乗り出しているが、実戦配備の水準には至っていないと評されている。韓国でも昨年8月、国防部(省に相当)の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)長官が、国防科学研究所(ADD)創立50周年記念式典で開発計画を初めて公開した。