裁判
徴用被害者が差し押さえた三菱重工業の資産、韓国の裁判所が初の売却命令
韓国・大田地裁は27日、日帝の強制徴用による被害者の申し立てで差し押さえられた三菱重工業の商標権、特許権の売却を命じた。韓国の裁判所が日本の戦犯企業の資産を差し押さえる決定を下したのに続き、売却命令を下したのは今回が初めてだ。日本製鉄など他の日本企業を相手取った裁判にも影響を与える見通しだ。
大田地裁の金容賛(キム・ヨンチャン)判事は27日、日帝による強制徴用被害者であるヤン・グムドクさん(92)とキム・ソンジュさん(92)が三菱重工業を相手取り、裁判所に商標権と特許権の特別現金化(売却)命令を求めた申し立てを認め、資産売却を命じた。日本側が即時抗告しなければ、執行官が商標権、特許権を直ちに売却し、被害者に損害賠償金を支払うことになる。
売却対象はヤンさんが差し押さえた商標権2件、キムさんが差し押さえた特許権2件。裁判所の決定は2人が商標権と特許権を売却し、1人当たり2億970万ウォン(約2000万円)相当の賠償を受けられるようにするものだ。
これに対し、三菱重工業は同日、即時抗告を行う方針をあきらかにした。同社が即時抗告を行えば、大法院による結論が出るまで売却手続きを執行できない。しかし、大法院が即時抗告を棄却し、三菱重工業の韓国国内での資産である商標権などが売却されれば、韓日関係に大きな波紋が予想される。日本政府は強制徴用に対する賠償を巡る韓国国内での司法手続きは国際法違反だとする立場だ。
ヤンさんとキムさんは2012年10月、三菱重工業など戦犯企業を相手取り、損害賠償請求訴訟を起こした。2人は18年11月、大法院で勝訴した。しかし、三菱重工業が賠償を拒否したため、2人は特許庁がある大田地裁に商標権、特許権の差し押さえを申し立てた。大田地裁は19年3月、差し押さえ命令を下した。三菱重工業は差し押さえが不当だとして抗告したが、裁判所は棄却。三菱重工業が再抗告したが、大法院も今月10日、差し押さえは正当だと判断した。