金融・財政
いつ弾けるか分からない韓国の債務爆弾230兆ウォン
コロナ流行以降、家計と企業の債務が急速に膨らみ、返済できない可能性が高い「危険な融資」が230兆ウォン(約21兆6000億円)に達することが分かった。
今月24日に韓国銀行が発表した「金融安定状況」報告書によれば、借金を返済する能力がない自営業者、利益より利払い負担が多い企業、所得が比較的少ない20-30代の青年層などによる負債が大幅に増えていることが分かった。韓銀は「内外からの衝撃に弱いローン利用者のリスクが現実化し、金融安定を害する可能性がある」と警告した。
自営業者に対する融資は過去1年間に急速に膨らみ、今年4-6月期には850兆ウォンを超えた。1年間で103兆ウォン増えた計算だ。韓銀はうち約9%の77兆ウォンを事実上返済不能な融資と見なしている。年間の営業利益でローンの利払いもできない「限界企業」の割合は2010年の統計開始以来最高の15%に達する。そうした企業の債務は124兆5000億ウォンで、前年に比べ9兆1000億ウォン増加した。
青年層への融資も過去1年間で急増した。20-30代の債務は約490兆ウォンで全体の4分の1を超えた。賃貸保証金など住宅関連ローンが大幅に増えた。韓銀は青年層のローン利用者の7%に返済能力がないとみている。借り入れ金額別に関係なく返済不能者が広がっていると仮定すると、33兆ウォン程度が焦げ付く可能性がある。金融研究院のシン・ヨンサン・金融リスク研究センター長は「金融当局は家計債務を規制すると言いながら、賃貸保証金融資などは事実上容認し、これまで手ぬるく対応してきた。最近融資規制を強化しているが、状況をさらに悪化させることもあり得る」と述べた。
1800兆ウォンを超えた家計債務は過去最大規模であり、量的な面も問題だが、自営業者と20-30代への「危険な融資」の伸びが急激であることがより大きな問題として挙げられる。コロナによる売り上げ減少、ローンなしでは購入できないほど高騰した住宅価格に長期間続いた超低金利環境が重なった結果だ。今回の報告書によると、韓国の国内総生産(GDP、名目ベース)に占める家計債務の割合は105%で、主要国(平均63%)で5番目に高い。可処分所得に占める家計債務比率は172%で過去最高の水準にまで上昇した。韓銀が政策金利をさらに引き上げ、貸出金利が上昇した場合、返済負担が増大し、消費など他の経済活動に衝撃が拡大する可能性も高まった。
韓銀は「家計債務の増大が続く中、住宅価格の急騰が続き、金融不均衡が深刻化している。内外の衝撃で経済主体の心理が急変すれば、金融の安定性が阻害される可能性がある」と分析した。韓銀は金利が0.5%上昇すれば、家計の年間利息負担は5兆8000億ウォン膨らむと試算した。
■自営業者の融資、4-6月に850兆ウォン突破
コロナ事態以降、「借金で持ちこたえる」という言葉が聞かれるほどどうにかやり過ごしている自営業者への融資は、過去1年間で増加が続いた。今年6月末現在で自営業者への貸付残高は858兆4000億ウォンで前年同期を14%上回った。年間で103兆ウォン、4-6月期だけで27兆ウォン増えた。業種別ではソーシャルディスタンス規制による被害が大きかった卸小売業(14%)、余暇サービス業(20%)などで融資の伸びが大きかった。所得別では所得階層別で第1-3階層に属する中低所得の自営業者に対する融資の伸び率が16%台となり、他の階層(12%台)を上回った。
自営業者向け融資は金利が相対的に高いノンバンクで増加が目立った。ノンバンクによる融資が前年同期よりも20%増え、貯蓄銀行、クレジットカード会社、貸金業者などによる高金利ローンが18%増となったのが目立った。自営業者向け融資のうち、返済可能性が非常に低い債務者を指す「脆弱債務者」の割合が11%(利用者数ベース)に達する。韓銀は金融機関から3件以上の借り入れを行い、低所得(所得下位30%)または低信用(信用スコア664点以下)の債務者を脆弱債務者に分類している。
韓銀が先月、政策金利を0.25%引き上げ、0.75%とする中、今後金利がさらに上昇すれば、自営業者の利払い負担は大幅に増える見込みだ。韓銀は政策金利が0.5%上昇すれば、自営業者の利払い負担が2兆9000億ウォン増えると試算している。
■20-30代は賃貸保証金など住宅関連ローン急増
20-30代の青年に対する融資は賃貸保証金など住宅に関連する融資の増加が目立った。住宅価格が上昇し、賃貸保証金も高騰。最大限のローンを組んで住居を確保する青年が増えた影響だ。
コロナ以降、青年層のローン増加率は13%(4-6月期、前年同期比)で、他の年齢層(8%)に比べはるかに高い。青年層が家計債務全体に占める割合も2017年の約24%から今年4-6月期には27%まで上昇した。家計債務増加分のうち青年層が占める割合は18-19年の30%から42%へと増大した。本紙が韓銀の報告書に基づき計算した結果、青年層の債務(分割払いローンなどクレジット払い含む)は昨年初めの414兆ウォンから今年4-6月期には486兆ウォンへと大幅に増えた。
20-30代は新社会人が多く、所得が少ないため、低所得債務者の割合が他の年齢層より高い。債務者の4人に1人(24%)は低所得債務者であり、脆弱債務者の割合(6.8%)も他の年齢層(6.1%)を上回った。
青年層の債務は賃貸保証金ローンを中心に増えた。賃貸保証金ローンは青年層のローンの約25%を占め、他の年齢層(8%)よりはるかに多かった。韓銀は「賃貸保証金ローンは相対的に規制が緩く、青年層の住居支援を目的とする『支柱賃貸保証金資金』など支援プログラムも多いため、20-30代で高い伸びとなった」と指摘した。
信用融資も4-6月期に20%も急増しており、韓銀はうち相当部分が株式投資に流入したとみている。韓銀のイ・ジョンウク金融安定局長は「青年層は他の階層よりも所得水準が低く、衝撃を吸収する金融資産の蓄積度が低い。将来市場にショックが発生した場合、青年層が一時的に危険に直面しかねない状況だ」と説明した。