コラム
【コラム】中国が憎くても中国語を学ばねば
0人。2022年度公立中等教員(中学・高校教師)選抜予定公告に記載された中国語任用教師選抜の人数だ。1997年に中国語教師選抜が始まって以来、中国語教師を1人も採用しないのは初めてだ。2020年度は43人、2021年度は33人採用した。中国語教師を新たに採用しないのは、学校で中国語の人気が冷え込んでいるからだ。選択科目である上、難度の高い中国語に生徒たちが負担を感じていた状況に、反中感情が重なったためだ。
この数年間で中国語の人気は急速に衰えた。2016年の終末高高度防衛ミサイル(THAAD)問題以降、中国からの「遊客(観光客)」が途絶え、観光ガイドを目指していた学生やサービス業界従事者らが真っ先に中国語学習から離脱した。その後、中国から来るPM2.5などの微小粒子状物質や、「キムチ宗主国」論争などで反中感情が広がり、中国語学習の需要が大幅に減少した。ソウルの大手語学学校で初級中国語講師をしていた知人は「毎年、受講者の数が大幅に減少し、新型コロナ流行前でも月収は80万ウォン(約7万5000円)に過ぎなかった」と言った。中国語の通訳・翻訳者も不人気職種になっている。ソウル市内の名門通訳・翻訳大学院を卒業したある中国語通訳は「安価で通訳・翻訳のアルバイトをする中国朝鮮族や留学生、長引く新型コロナ禍で、仕事を見つけるのが難しくなっている」「中国語を習得するのに10年かかったのに、企業の契約職採用に頼る身になった」と言った。
このような現象は気がかりだ。中国は好むと好まざるとにかかわらず、韓国の重要な政治・経済パートナーだ。2013年以降、中国はずっと韓国の最大貿易相手国だ。韓国の全輸出額において対中輸出が占める割合は25.8%で、米国(14.5%)と日本(4.9%)を合わせた数字を上回る。中国にとっても、韓国は1999年以降すっと「輸出4位国」の座を占めている。中国人たちは特に「言葉遊び」が好きだ。ビジネスミーティングはもちろん、首脳間の会談でも、何かと故事成語や漢詩を引用して真意をのぞかせる。筆者は2017年、中国である実業家を朝鮮日報主催のアジアン・リーダーシップ・カンファレンス(ALC)の講演者として招こうと、交渉のために会ったが、「『資治通鑑』を読んで解釈しなさい」というテストを出された。
中国語人材の養成は、韓国の競争力を確保するために一層奨励されるべきだ。高麗時代に「通文館」、朝鮮建国後には「司訳院」という外国語の通訳・翻訳を担当する官庁を設置し、中国語を教育していたのは、国が生き残るのに不可欠だったからだ。だが、17世紀に明を滅亡させた清を蛮人と軽蔑する風潮の中、「新しい中国語」である満州語の人材を見つけるのは難しくなった。中国語も満州語も知らない朝鮮の使臣が清の皇帝に会うという状況が長く続いた。これでは自国の国益をきちんと貫けるはずがない。中国が憎いからと言って中国語を学ばなければ、韓国の競争力が低下するばかりだ。
イ・ボルチャン記者