就職をあっせんする韓国政府および自治体の雇用センターが、死亡した高齢者らを求職者にすり替えておよそ1万2000件の求職申請を偽装するなど、大規模な雇用実績の水増しを行っていた事実が発覚した。ところが調査を担当した雇用労働部(省に相当。雇用部)は過去2年間、こうした事実を外部に公開していなかった。

 雇用部は14日、「求職申請を捏造(ねつぞう)した韓国政府および自治体の雇用センター所属相談員1549人を2019年2月に摘発し、このうち241人について警察へ捜査依頼を行い、324人について注意や警告などの措置を下した」と発表した。調査によると、摘発された相談員らは15年1月から18年10月にかけて公共勤労の仕事に登録された高齢者の個人情報を盗用し、就職あっせん電算網「ワークネット」に虚偽の求職申請を入力していたことが分かった。この過程で、死亡した高齢者の情報を基に計1万2043件の虚偽求職申請が行われ、このうち実際に就職処理されたケースは974件に達した。死亡している人が就職したとして集計されたケースが974件あったという意味だ。

 これに関して、働き口に関する実績は政府の予算配分と連動していて、一線の契約職の就職関連相談員は実績を出すようにという上部からの強い圧迫に苦しんでいた、という証言が出てきた。元就業相談員のある人物は、メディアのインタビューで「(上部から)実績を満たすため不当な指示が継続して下り、指示を拒否した人は首になった」と証言した。大規模な求職実績捏造により、韓国政府の雇用に関する基礎統計資料や、これに基づいた政府の雇用関連予算投入もねじ曲げられた可能性があるという分析も出た。

 雇用部は2019年4月に、調査結果を当時の李載甲(イ・ジェガプ)長官に報告したものの、外部には虚偽申請を行った相談員32人についての一部標本調査結果のみを公開していた。しかし懲戒処分に反発した一部相談員が情報公開請求訴訟に勝訴したことで、調査全体の内訳が今回公開された。

ホーム TOP