日本の教科書から「従軍慰安婦」という表現が消える。強制的という意味が込められている「従軍慰安婦」の代わりに「慰安婦」という表現が適切だとの見解を日本政府が明らかにしてから5カ月後のことだ。日本政府が従軍慰安婦問題について謝罪するという内容の「河野談話」は28年目にして事実上、死文化したとの声が上がっている。

 

 毎日新聞など日本のメディアが9日に明らかにしたところによると、文部科学省は教科書会社5社が提出した「教科書内の記述の削除や変更の訂正申請」を承認したとのことだ。これは、日本政府が今年4月27日に開かれた閣議で、河野談話を継承する考えを明らかにしたのと同時に、「『従軍慰安婦』という表現は誤解を招く恐れがある。単に『慰安婦』とするのが適切だ」とする答弁書を閣議決定したことによるものだ。この時の閣議では、韓半島(朝鮮半島)から日本に動員された労働者を「強制連行」とひとくくりにする表現も適切でないとされた。

 今回の日本政府の閣議決定に基づいて、教科書会社5社の中学・高校教科書29点に記述されていた「従軍慰安婦」「強制連行」という表現は実質的に消える。日本の教科書検定過程では、閣議決定など統一された公式見解を政府が明らかにした場合、これに基づいて説明しなければならないという基準があるからだ。これは安倍晋三前首相の時に作られた。教科書会社5社のうち、清水書院は「いわゆる従軍慰安婦」という記述を維持した上で、注釈として「政府の談話などを含めてこのように表現されることも多かったが(略)現在、日本政府は『慰安婦』という語を用いることが適切であるとしている」を追加した。また、「強制連行」「強制的に連行」という表現は「強制的な動員」あるいは「徴用」という表現に変わった。拉致・誘拐などの犯罪に近い「強制連行」ではなく、徴用令などの手続きに従ったという主張だ。

 日本政府は、1993年に発表した「河野談話」で、「いわゆる従軍慰安婦」という表現を使用し、慰安婦問題について「(日本)軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた」と謝罪した。しかし、2012年に自民党が衆院選で勝利して安倍晋三氏が首相になってからは河野談話の死文化を進めていた。

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