経済総合
サムスンの未来、両翼はシステム半導体とバイオ
サムスンが24日発表した240兆ウォン(約22兆6000億円)規模の投資計画には、半導体、バイオ分野を集中的に育成し、アフターコロナの時代にも世界のテクノロジー市場をリードしていくとする強い意志が反映されている。第5世代(5G)移動通信、人工知能(AI)、電気自動車(EV)など未来産業の重要素材である半導体のほか、コロナを経験して急成長したバイオ産業を韓国経済の二大軸に育てる狙いだ。
サムスンの年間投資額80兆ウォンは昨年の韓国企業全体の年間設備投資(167兆7000億ウォン)の半分に達する規模で、サムスン電子の昨年の営業利益(36兆ウォン)の2倍を超える。サムスンは特に国内だけで年間60兆ウォンずつ合計180兆ウォンを投資する。財界関係者は「国内経済の活性化と雇用創出にサムスンが役割を果たすべきだとする社会的期待に応えようとするものだ」と指摘した。
■半導体・バイオを集中育成
サムスンは今回の投資計画で半導体・バイオ産業の育成を前面に掲げた。サムスンは半導体について、「世界の半導体市場の覇権競争がこれまで例がないほど激化しており、サムスンだけでなく、韓国経済の核心基盤である半導体の生き残りを図るため、攻撃的に投資を行う」とした。世界首位を守っているメモリー半導体では圧倒的な技術とコスト競争力に基づく次世代製品で後発企業との差を広げる計画だ。システム半導体は世界初の新たな製造プロセスの開発を通じ、台湾積体電路製造(TSMC)に追い付き、世界トップに飛躍する計画を再確認した。サムスンは今年5月、2030年までにシステム半導体分野に171兆ウォンを投資すると表明しており、同分野だけで今後3年間に少なくとも50兆ウォン以上が投じられる見込みだ。
バイオ産業は「第2の半導体」に育成する。現在建設しているサムスンバイオロジクスの第4工場が完成すれば、サムスンのバイオ医薬品生産能力は世界トップに立つ。サムスンはそれに満足せず、第5、6工場を建設し、バイオ医薬品以外にワクチン、細胞・遺伝子治療剤などの次世代製品の生産にも攻撃的に参入する。韓国にバイオ医薬品生産ハブを構築し、韓国のバイオ主権を確保していく。
また、世界で初めて5Gの商用化を達成した技術力に基づき、第6世代(6G)など次世代通信技術の研究を主導し、AI、ロボット、スーパーコンピューターなどの未来の新技術分野にも投資を行う。
サムスンは2017年に車両用電子装置メーカーのハーマンを9兆ウォンで買収して以降中断してきた大規模な合併・買収(M&A)にも攻撃的に取り組む。サムスン関係者は「半導体、AI、通信設備などサムスンの競争力と相乗効果を生むことができる分野の企業を集中的に物色している」と説明した。
■雇用計画は1万人増
サムスンは青年層のための雇用機会創出で積極的に先頭に立つべく、今後3年間で4万人を直接採用すると表明した。当初はこの期間に約3万人を採用する計画だったが、規模を1万人増やした。サムスン関係者は「来年は平沢の半導体新規ライン、23年にはサムスンバイオロジクス第4工場が完成するなど生産施設の増設が続いており、大規模採用が続く見通しだ。次世代通信、AI、ロボットなどでも優秀人材が不足している」と話した。サムスンは今後3年間で240兆ウォンの投資を行う過程で生じる直接・間接の雇用誘発効果が56万人に達すると期待している。
特にサムスンは主な大企業が相次いで大卒新人の公開採用を廃止し、随時採用を拡大する流れには従わず、サムスン電子をはじめとする主な系列企業で公開採用制度を維持する。公開採用には採用市場の安定性と予測可能性を担保するプラス効果があり、就職希望者に公正な就職機会を提供できるからだ。サムスンはまた、大企業と中小企業の格差解消に向け、基礎科学、独自技術の研究開発(R&D)に対する支援を拡大し、中小企業に提供してきたスマート工場支援プログラムも継続推進する。