「ちりも積もれば山となる」とは言うものの、鳥のふんが積もれば島も出来る。南太平洋の島国「ナウル共和国」がこうして誕生した。最初は小さなサンゴ礁だったが、そのうち地球の南半球と北半球を行き来する渡り鳥のトイレとなった。長い間積もった鳥のふんが固まって地面になると、やがて人間が住み始めた。面積はソウル市竜山区に近い21平方キロメートルで、住民も1万人に上る。島を作った膨大な量の鳥のふんは、小説的な想像力もかき立てた。007シリーズの一つである「ドクター・ノオ」は、鳥のふんで出来上がった仮想の島「クラブ島」を背景に書かれた。

 鳥のふんに混じったリン酸塩は、大粒の実を結ばせる質の良い肥料となる。1800年代後半、南米のペルー、ボリビア、チリは、ペルー沖合にある諸島に数百メートルも積もった鳥のふんの所有権を巡って戦争を起こしている。後日、「鳥のふん戦争(グアノ戦争)」と呼ばれたこの紛争で、ボリビアは海を失って内陸国となった。ナウル共和国は、リン酸塩が固まってできたリン鉱石を売り、豊かな時代を満喫した。一時、石油大国のアラブ首長国連邦に続き、世界で2番目に裕福な国となったものの、1990年代にリン鉱石が枯渇し、経済が低迷した。

 鳥のふんが地球温暖化を防ぐといった研究もある。夏に北極圏に押し寄せて来る数千万羽の渡り鳥の排せつ物で、清浄な北極圏の環境が汚染されると考えられていたものの、むしろ鳥のふんが分解される時に出されるアンモニアが雲の形成を助け、北極圏の温度を下げているという。おかげで二酸化炭素排出による温室効果がある程度相殺されるというのだ。

 文明化されたほとんどの都市で鳥のふんは処置に困難な悩みの種だ。数年前、数千羽の淡水ウが中国から飛んできて、漢江のパム島に排せつ物を落としていった。島に自生していた柳が鳥のふんに覆われて枯死の危機にひんすると、除去作業が始まった。固くなった鳥のふんは洗い落とすことができず、放水機まで使用された。水原では、突然増えた冬の渡り鳥「ミヤマガラス」の排せつ物のため、洗車場がごった返し、道路を掃除してほしいという苦情の声が多数寄せられたこともある。

 セマングム防潮堤の内側にある湖に、環境に優しいエネルギーのテスト事業を行うとして設置した数百枚の太陽光パネルが「鳥糞光」パネルと化してしまったという。清掃しても3日で再び鳥のふんに覆われ、鳥のふんの強い酸性にパネルが腐食する被害まで出ているというのだ。田畑のようにかかしを立てて、鳥が近づけないように空砲弾でも撃たなければならない状況だ。セマングム防潮堤が完成して以降、同地は数十万羽の渡り鳥が集まる鳥たちの天国となって久しい。鳥のふんによる被害が十分に予見されていたことを意味している。環境事業さえも「政権の機嫌取り」として進められた結果、さまざまな現象があちこちで起きている。

金泰勲(キム・テフン)論説委員

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