『目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画』を出版したクライブ・ハミルトン教授、単独インタビュー

■「韓国国内の対中抵抗力の弱体化が中国共産党の戦略」

-駐韓中国大使の最近の発言はCCPのこうした戦略から出たものか?

「そうだ。中国は今、自らをアジアと太平洋におけるボス、すなわち覇権国と考えている。韓国や日本、台湾、オーストラリアなどは従属すべき部下(subordinate)と考えており、支配しようとしている」

-ここで中国はなぜ『静かな侵攻』を行うのか?

「CCPは、韓国など相手国の指導者が『北京の望むものを与えれば、それがその国にとって最高の利益になり、同時に指導者個人にも最高の利益になる』という考えを持つようにあらゆる努力を傾けている。このように指導者の内面まで転覆させる(internal subversion)のが、まさにCCPの『静かな侵攻』(silent invasion)だ」

 さらにハミルトン教授は続けた。

「韓国を含む外国の指導者らはしばしば、自分が何をしているのか分からないまま、北京を喜ばせてやることが本当に韓国や韓国国民の利益になると妄信している。だから北京が望むことを全て聞き入れてやっている」

■「韓国、オーストラリアなどを米国との同盟から離脱させるのが目標」

-ならば、中国の究極的な目的は何か?

「北京が国際的に最も重要視して推進している目標は、米国との同盟解体だ。これを通して米国を抑え、世界唯一の覇権国(hegemonic power)になろうとしている。まずオーストラリアの高い対中経済依存度を武器に政界や財界、知識人エリートの同調者を集め、オーストラリアを掌握した後、オーストラリアを米国との同盟から離脱させようとしている」

-「中国は“経済的脅迫の名手”だ」と著書で指摘しているが。

「CCPは“経済的脅迫”を極めて残忍に(quite ruthlessly)利用している。最近15カ月間、中国はオーストラリア産の輸入品に対して一連の禁輸措置を下した。オーストラリア政府がもはや中国共産党にひざまずく(kow-tow)ことはないと分かるや、これに怒って報復している」

 ハミルトン教授は「北京は、韓米同盟を弱体化させない限り韓国を支配できないという事実をよく理解している。だから中国は経済的脅迫のカードで韓国の政治的譲歩と屈従を引き出そうとしている」と語った。

-CCPは最近、創党100周年を迎えた。中国の本当の姿は何だろうか?

「習近平総書記は7月1日の創党記念式典で『中国は平和を愛する国』と何度も語った。そうして『中国を服属させようとする国は、鋼鉄のような万里の頂上の壁に頭をぶつけて血を流すことになるだろう』と言った。中国の『戦狼(せんろう)外交官』らは今も相手国を脅迫し、侮辱し、罰まで与えている。中国は真に平和を愛する国なのか、それとも頭から血を流させる国なのだろか?」

-米国もオーストラリアに「静かな侵攻」をしているのではないか? 米国の攻勢でオーストラリアの主権が侵害されるという指摘もある。なぜ中国に対してのみ問題を提起するのか?

「私を含む相当数のオーストラリア国民は、イラク戦争参戦のようにオーストラリア政府が米国の対外政策に追従することに批判的だ。だが米国との関係によってオーストラリア人の市民的自由と民主主義が侵害されたり妥協したりすることはない。その点で、米国と中国は本質的に違う」

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