製菓会社が最近、スナック菓子「コチュ(唐辛子、男の子の性器を象徴)チップ」を発売した。パッケージには指ではなく箸で菓子をつまむ写真が使用された。関係者は「唐辛子の天ぷら味をイメージしたスナックなので、箸でつまむ写真を掲載した」とし、次のように付け足した。「これまでの指を巡る議論を意識しなかったわけではない」

 何も考えずに指を使うと、黄信号のともる世の中だ。今年5月、コンビニチェーン「GS25」の広告ポスターに指でソーセージをつかむ挿絵が掲載された。「韓国人男性の生殖器の大きさをあざ笑うメガル(閉鎖的な韓国のフェミニストサイトの利用者を総称する言葉)のシンボル」とし、一部の男性が不買運動を宣言した。コンビニのオーナーまで大騒ぎとなった。デザイナーは「私は結婚して息子を育てるワーキングママ」と釈明した。結局、彼女を皮切りに数人が懲戒され、補職を解任された。警察庁が公開した「PM(個人型移動装置)の改正法令」の案内ポスターにも、「親指と人差し指」の手の動きが含まれるとする意見が出された。警察庁は「そうした意図は一切なかったが、ご迷惑をおかけし申し訳ない」とポスターを修正した。「親指と人差し指の手の動き」は、韓国でのみ「男性嫌悪」のシグナルとなった。

 指の問題は「イルベの認証」が元祖だ(イルベは匿名ネット掲示板サイト。右翼・親日傾向が強いとされる)。サイトの構築初期に熱心なユーザーが、指でハングルの「イウン」と「ピウプ」の字を作った後、写真を撮るという「会員認証」が一時流行した。盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の支持者は、こうしたイルベ会員たちの認証写真を逆手に取り、「イルベ会員の探索」に活用した。今でこそ演技力で認められている俳優も、数年前はこうした写真が出回り、俳優人生の幕切れを迎えそうになったこともある。「お気に入りの米国のヒップホップ歌手をまねたもの」としたものの、攻撃する側の人々は耳を貸そうとはしなかった。

 キーボードで入力ミスをしてもたたかれる。擬声語を連想させる「クンクァンイ」は「太り気味でブスなフェミニスト」、「オトケ」や「アモラン」は「依存的」で「非論理的」な女性を称した女性侮蔑用語だ。男性が何も考えずに食べるという意味の「ホボホボ」、いたずらに精子の数だけ多いという意味の「五兆五億個」という表現は、男性を怒らせる言葉だ。携帯メールに返事してこない娘に「うちの娘、アモラン?」、食事する息子に「うちの息子ホボホボ、よく食べるね」と言うと怒られる。

 「そんな意味とは知らなかった」「そうつもりではなかった」と釈明すれば、「普段から何も考えていないからより問題」と逆に攻撃される世の中だ。イルベと間違われたくなければ「イルベ博士」にならなければならない。「男性嫌悪、女性嫌悪の単語を使った」という汚名を着せられたくなければ、男性嫌悪と女性嫌悪の単語を丸暗記しなければならない。逆説的でありパラドックスだ。左翼・右翼、ジェンダーの葛藤が激しさを増し、多くの人々が極端な疑い癖の強い患者になってしまったようだ。疑念と不安の雲がサイバー世界を超え、実社会にまで拡大している。

パク・ウンジュ/エディター

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