在日韓国人3世の安昌林(アン・チャンリム、27)が、日本の柔道の心臓部で五輪銅メダルを獲得した。

 

 安昌林は26日、東京・日本武道館で行われた東京五輪の柔道男子73キロ級3位決定戦で、アゼルバイジャンのルスタム・オルジョフを相手に技ありで勝利を収めた。

 両者とも「指導」を2つ受け、反則負け(指導3つ)の危機に追い込まれて互いに攻撃的になっていたところで、安昌林が終了7秒前に一本背負い投げで技ありを奪い、勝負が決着した。

 安昌林はこの日、1試合目(2回戦)から準決勝まで全て延長にもつれこみ、体力が尽きた状態だった。ラシャ・シャフダトゥシビリ(ジョージア)との準決勝では終盤に両手で膝を抑えるほど消耗していた。安昌林は正規の試合時間4分に加えて延長戦の4分37秒まで、計8分37秒も接戦を繰り広げた末に反則負けとなり、3位決定戦に回った。しかし、力を振り絞って価値ある銅メダルを手にした。柔道競技が行われた武道館は日本の柔道の象徴となる場所だ。安昌林が銅メダルを獲得したことで、授賞式では武道館に太極旗(韓国国旗)も掲げられた。

 安昌林は試合後「後悔はない」といいながらも「5年間、全てを懸けて努力してきたが、望む結果が出なかった」と何度も悔しがった。そして「在日韓国人のみなさんに感謝する。私の全ての精神的基盤は在日韓国人社会から来ている」と話した。

 安昌林は東京で生まれ、幼少期を過ごした。小・中学校は京都だったが、再び東京に戻って高校を卒業し、柔道の名門、筑波大学に進学。2013年、大学2年のときに日本の全国大会で初めて金メダルを取ったが、その場所が武道館だった。安昌林は日本で指折りの有望株だったものの、国籍の関係で日本では一部の大会にしか出られなかった。日本国籍を取得するよう提案されたが「祖父や祖母が頑張って守ってきた韓国国籍」にこだわって提案を断り、14年に韓国の竜仁大に編入。同年に韓国代表に選ばれ、2015年、17年の世界選手権で銅メダルを獲得して名前を知られるようになった。18年ジャカルタ・パレンバン・アジア大会では銀メダルだったが、同年の世界選手権では優勝を成し遂げた。

 安昌林は筑波大学時代に監督(現・日本女子代表監督)の国籍変更の提案を断ったことについて「後悔はしていない。祖父・祖母が命を懸けて国籍を守ったことを忘れることができない」と話した。

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