裁判
「ネット世論操作」金慶洙被告の懲役2年確定、慶尚南道知事を失職
2017年の韓国大統領選に先立ち、インターネット上のコメントを利用し、文在寅(ムン・ジェイン)候補と民主党に有利な方向で世論操作を行うよう指示したとして、一、二審でいずれも有罪判決を受けた慶尚南道知事、金慶洙(キム・ギョンス)被告に対し、大法院2部は21日、上告を棄却。懲役2年の二審判決が確定した。これにより、金被告は知事職を失職した。
金慶洙被告はコンピューターなどの障害による業務妨害罪、公職選挙法違反の罪で起訴され、二審で業務妨害罪について、懲役2年の判決が下されていた。
大法院判決で金慶洙被告は知事職を失職し、慶尚南道では河炳弼(ハ・ビョンピル)行政副知事が知事権限代行を務める。選出職公務員は一般刑事事件で禁錮以上の判決が確定すれば当選が無効となる。
金慶洙被告はドルイドキングことキム・ドンウォン氏のグループと共謀し、2016年12月から18年1月までネイバー、ダウムなどポータルサイトの記事6万8000本に付いたコメント68万件余りを対象に「共感」「非共感」の意思表示を行う4133万回余りのクリックを行ったと認定された。ドルイドキングのグループは一連の世論操作を目的として、「キングクラブ」というコメント操作プログラムを開発し、金慶洙被告はプログラムの使用を黙認、指示したことが判明した。
金慶洙被告は自身が慶尚南道知事に出馬する18年6月の地方選挙を支援する見返りとして、キム・ドンウォン氏に近い弁護士を在仙台総領事に就任させようとした公職選挙法違反の疑いも持たれた。
一審は業務妨害罪で懲役2年、公選法違反で懲役10月、執行猶予2年を言い渡した。二審は公選法違反を無罪としたが、業務妨害罪については一審と同じ懲役2年の判決を下した。
金慶洙被告は一審判決後、77日間収監されたが、「道政の空白が懸念される」として、保釈金2億ウォン(約1920万円)を納めて保釈された。このため、金慶洙被告は今回確定した懲役2年の判決の残された刑期1年10カ月を服役しなければならない。
大法院判決に先立ち、慶尚南道庁に出勤した金慶洙被告は「自分ができる、真実を明らかにするための努力は全部した。私を信じて待ってくれた道民に感謝する」と述べた。
今回のコメント世論操作事件を捜査した許益範(ホ・イクポム)特別検事は、大法院判決後、「この事件はある特定人物に対する処罰という意味よりは政治家が私的な組織を利用し、インターネット世論操作行為で選挙運動に関与した責任に対する反証であり、今後選挙に出る方々に公正な選挙を行うよう求める警鐘だと思う」と述べた。その上で、「ただ金知事が在仙台総領事職を提案した事実まで認めながらも、その意味を縮小し、処罰条項の法律的評価および解釈を制限的に適用した下級審判決をそのまま認めた点は残念だ」とした。