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米情報当局「UFOは存在する、安全保障に脅威」
米国家情報長官室(ODNI)は25日、未確認飛行物体(UFO)が物理的に存在する現象だとして、「安全保障の脅威」になっているとする報告書を発表した。米国の国家機関がUFOの存在を公式な報告書で明らかにしたのは今回が初めてだ。ただ、報告書は関連資料が不足しており、UFOの実体が何なのかを究明するのは困難だとした。ニューヨーク・タイムズは「地球外の科学技術である証拠は見つけられなかったが、地球外生命体の宇宙船かもしれないという理論を排除することはできないというのが結論だ」とする米政府高官の話を伝えた。
報告書は9ページから成り、2004年11月から21年3月までに米海軍のパイロットによるUFO目撃事例を検証することに焦点を合わせた。調査対象は144件で、レーダーなどの設備の異常による識別ミスではなく、全て物理的に存在する現象だったとしている。報告書はUFOではなく、未確認空中現象(UAP=Unidentified Aerial Phenomenon)という用語を使用した。
うち実体が判明したのは1件で、「風船型の器具」だったが、残りは確認できなかったという。報告書は「調査のための資料が不足している」とした上で、「(これら物体は)風が吹いていても停止していたり、突然高速で移動したりする特性があった。(問題の物体を)識別できる手段もなかった」とした。
報告書には米国防総省が米海軍の戦闘機が撮影したUFO追跡映像を18年3月に公開したケースも盛り込まれた。15年にF/A-18スーパーホーネットが米東海岸で撮影したものだ。当時操縦士は海面から約15メートル上に浮かんでいる長さ約12メートルの白い楕円形の物体を発見した。公開された映像を見ると、戦闘機2機が接近すると、この物体はしばらく停止していたが、瞬間的に戦闘機のスクリーン左側へと消えた。操縦士は「いったいあれは何だ」と叫んだ。当時F/A-18を操縦していたライアン・グレーブス予備役中尉は先月、メディアのインタビューに答え、「14年夏から15年3月までのほぼ毎日、米東海岸上空に風に反して動くコマのような物体が出現した」と語った。
報告書はUFOについて、「米国の国家安全保障に脅威となり得る」とし、「(一部のUFOは)中国やロシアが開発した技術である可能性もある」とした。実際位米国の軍と情報当局からはUFOが中国やロシアの極超音速技術実験ではないかとの見方が示されてきた。中国とロシアは巨額の予算を投じ、米国と極超音速兵器の開発競争を繰り広げている。音速の5倍以上で飛行し、目標を攻撃することが目標で、米国のミサイル防衛(MD)システムによる監視網も避けることができる。
報告書には地球外生命体に関する言及はなかった。ある当局者はロイター通信に対し、「報告書に盛り込んだ144件には地球外生命体と関連があるかどうか明確な兆候はなかった」とした。
これまで米政府と軍当局はUFOには実体がないとする立場を取ってきたが、内部では数十年間にわたり、UFOの正体を突き止めるための秘密プロジェクトを進めてきた。米ニューメキシコ州ロズウェルにUFOが墜落し、米軍が空飛ぶ円盤の残骸と宇宙人の遺体を回収したといううわさが広がった「ロズウェル事件」の翌年の1948年、米国防総省が行った「プロジェクトサイン」が最初の調査だ。52-69年に行われた「プロジェクトブルーブック」は約1万2000件のUFO目撃事例を調べ、うち701件が未解決のまま残った。プロジェクトブルーブックの報告書は「UFOに対する調査評価の結果、国家安全保障に脅威になるいかなる兆候も見つからなかった。地球外の飛行物体だと判断する根拠もない」とする結論を下した。
今回の報告書でUFOの存在を認めたことについて、ロイター通信は「1940年代以降の未確認飛行物体に対する観測結果の信ぴょう性を『一蹴』してきた米政府のターニングポイントになった」と報じた。NBCテレビも「米政府の報告書で(1947年に初のUFO目撃談が出て以降)タブーとからかいの対象だったUFOについて、人々が真剣に語っている」と伝えた。
ワシントン=イ・ミンソク特派員