今年1-3月に過去最高のシェアで世界のテレビ市場で首位を守ったサムスン電子が収益性悪化に苦しんでいる。原材料である液晶パネルの価格が急騰し、利益を出しにくくなっているからだ。サムスン電子が中国製パネルの採用割合を高めたことが仇となった。

 市場調査会社オムディアによると、1-3月のサムスン電子のテレビ出荷台数は1161万5000台で、前年同期を11.1%上回った。売り上げは35%増の90億1240万ドル(約9920億円)だった。サムスン電子の売上高ベースの世界シェアは32.9%で、1-3月期としては過去最高を記録した。販売好調を背景に、同社は16年連続のトップシェアを狙っている。

 しかし、そうした好業績とは裏腹にテレビ用液晶パネルの価格が上昇しており、収益性の低下が避けられない状況だ。ハナ金融投資のデータによると、今年3月後半(16-31日)のテレビ用液晶パネル価格は75インチが370ドル、65インチが262ドル、55インチが212ドル、43インチが136ドルだった。前年同期に75インチが333ドル、65インチが183ドル、55インチは122ドル、43インチが81ドルだったのに比べ一斉に値上がりした。昨年以降のコロナ流行で電子機器の需要が大幅に増え、液晶パネル価格が上昇した格好だ。さらに市場を掌握した中国メーカーがパネル価格を引き上げた影響もあった。

 サムスン電子は1-3月にテレビ用のパネル調達に1兆8624億ウォン(約1835億円)を費やした。前年同期(1兆324億ウォン)に比べ80%も支出が増えた。増収率に比べ、原材料価格が2倍以上の幅で値上がりしたことになる。サムスン電子は現在、台湾の友達光電(AUO)、中国の京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)、深セン市華星光電技術(CSOT)などからテレビ用液晶パネルの供給を受けている。

 電子業界はサムスン電子のディスプレー調達価格が急上昇したことについて、中国メーカーの割合が高まったためと分析している。系列企業のサムスンディスプレーではなく、低価格を提示した中国メーカーからのパネル調達を増やした後、サムスンディスプレーが収益悪化で減産すると、中国メーカーは価格調整を行い、価格競争でも優位に立った。

 サムスン電子は中国メーカーとの交渉力を高めるため、サムスンディスプレーにテレビ用液晶パネルの生産延長を求めたが、既に同社は生産量を大幅に減らしてしまっている。同社は韓国の一部事業所を整理し、中国工場はCSOTに売却するなどしており、サムスン電子が希望する量のパネルを供給することはできない状況とされる。

 サムスン電子は1-3月の業績説明会で、「液晶パネル価格の上昇と半導体需給問題で、(テレビ事業の収益性に)一部影響があるのは事実だ」とし、「こうした傾向が当面続くとみている」と説明した。

 一方、LG電子はLGディスプレーが供給割合を大幅には減らさない線で中国メーカーとのパネル価格の競争力を維持しているという。LG電子は今年1-3月のテレビ販売台数が前年同期比15%増の727万9000台だった。LG電子のテレビ用液晶パネルは主にLGディスプレー、BOE、AUO、群創光電(イノルックス・台湾)が供給している。LG電子の今年1-3月のパネル調達額は1兆2878億ウォンで、前年同期(9181億ウォン)と比べ40%増えたが、サムスン電子の場合に比べると、増加幅は半分にとどまった。

 電子業界関係者は「サムスンディスプレーのテレビ用液晶パネルの生産能力が月数万枚にすぎないのに対し、LGディスプレーは中国・広州工場だけで月20万枚を生産している」とし、「LG電子が今もLGディスプレーを主な供給元と考えているため、中国のパネルメーカーとの価格競争力でもサムスン電子に比べ、やや優位にあるとみられる」と指摘した。

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