裁判
妻が自宅に入れた不倫相手の男、住居侵入罪で処罰できるか? 韓国大法院で口頭弁論
妻が夫に秘密で不倫相手の男を自宅に入れたことを知った夫が不倫相手を住居侵入罪で告訴した場合、処罰は可能か--。韓国大法院は16日、公開で口頭弁論を行った。
騒動は2019年7-8月に起きた。蔚山市に住むAさんは内縁関係にあった既婚女性宅を3回訪れ、不倫関係に及んだが、その事実を知った夫から告訴された。Aさんは裁判で「侵入には当たらない」と主張した。住居侵入罪は「住居の平穏」を侵害しなければ成立せず、内縁関係にある女性がドアを開けて迎えたのであって、住居の平穏を害してはいないとする趣旨だった。
一審はAさんに懲役6月、執行猶予2年の有罪を言い渡した。夫はその場にいなかったが、不倫相手の男を自宅に入れることには反対した可能性が高く、同居する夫に意思に反する住居侵入に当たると判断した。
しかし、二審はAさんを無罪とした。二審は「内縁関係の女性による承諾があったならば、住居の平穏を乱したとは言えない」と判断した。住居侵入罪の成立要件を「現在家にいる人物の意思」と狭く解釈したものだ。
これについて、韓国家庭法律相談所は「共同居住者のうち1人の承諾があっても処罰するのであれば、立ち入りに同意した居住者の自由と平穏を侵害する可能性がある」との意見書を大法院に提出した。口頭弁論でもAさん側の弁護人は「家にいた妻の意思よりも不在だった夫の意思が優先されるのは問題だ」と主張した。Aさん側の参考人として出廷した韓国外国語大学法科大学院のキム・ソンギュ教授も「現実的に共同居住者全員の意思を確認することは困難であり、日常的でもない」と指摘した。一方、検察は「住居の自由は妻と夫の双方に保障されるべきだ」とし、Aさんを処罰することを主張した。大法院は口頭弁論での意見を総合し、最終判断を下すことになる。