▲京畿道南楊州市で50代女性を襲った大型犬の飼い主を探す案内文。/京畿北部警察庁

 「人間を襲った捨て犬は殺すべきだ」「動物は悪くない。安楽死はだめだ」

 今月22日、京畿道南楊州市の裏山で捨てられた大型犬が50代の女性にかみつき死なせた事件が発生したことを受け、南楊州市に「殺人犬安楽死」をめぐる賛成と反対の電話が相次いでいる。

 

 本紙が27日に取材した内容を総合すると、動物保護団体やペットを育てているという市民などから南楊州市に「(問題の捨て犬は)絶対に死なせてはならない」「私が育てたいので譲ってほしい」などと求める電話が相次いでいる。これに対して「人間にかみついて死なせた犬を生かしてはならない」「今後同じような事故が起こらないとは断言できない」として安楽死を求める市民からの抗議の電話も相次いでいる。

 一般的に捨てられて犬は10日以上飼い主や里親が見つからない場合には安楽死の手続きが行われる。そのため南楊州市は当初、人間に被害を与えたこの犬を安楽死させる計画を進めていた。ところが事件発生を受けて安楽死をめぐる論争が激しくなったため、南楊州市は方針を決めることができない状態が続いている。南楊州市のある関係者は「動物の権利よりも人権の方が優先」としながらも「警察と協議して対応したい」との考えを示した。

 警察も同じように困惑している。ただし問題となった犬については「他の飼い主に与えるべきではない」と考えている。すでに人間を襲った前歴があるだけに、後にまた別の人間を襲う可能性が高いからだ。しかし警察も安楽死については南楊州市に決めてもらうとしている。

 問題は今回の事件のように人間に害を加えた犬をどう処理するかについて、現行法には規程がないということだ。地方自治体はこれまで人間を襲った犬については慣行として安楽死の処分を行ってきた。これに対して動物保護団体などは「飼い主の過ちで放置された犬に責任を負わせるべきではない」と反発している。

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