経済総合
「ゲームチェンジャー」と目された韓国製コロナ治療薬、ゲームに出ることすらできなかった
新型コロナウイルス感染症の血漿治療剤を開発しているGC緑十字の株価が27日、35万6000ウォン(約3万5000円)で引けた。今年1月には株価が50万5000ウォンまで上場したが、4カ月で29%以上急落した。緑十字は昨年3月からコロナ治療薬を開発に取り組み、先月に食品医薬品安全処(食薬処)に条件付き認可を申請した。しかし、食薬処は今月11日、同社の血漿治療剤「ジコビディック注」に条件付き認可を下さなかった。認証試験で治療効果を認証できなかったためだ。
昨年コロナ危機の渦中で株式市場で順調に推移した韓国のコロナ治療薬関連銘柄が軒並み下落に転じている。コロナを終息させるゲームチェンジャーとして注目を集めたが、効果が期待ほどではなく、保険当局の認可を得られないケースが相次いでいるからだ。世界保健機関(WHO)は昨年10月、コロナ治療薬として使用される抗ウイルス剤「レムデシビル」がコロナ患者の死亡率を低下させることはないとの研究結果を発表し、最近も血漿治療剤にコロナの治療効果はないとする研究結果が医学誌「ランセット」に掲載された。世界の製薬会社によるワクチンが急速に普及していることも悪材料だ。
韓国のワクチン開発関連企業も同様に危うい。ワクチンブームで株価が急騰しているが、臨床試験の参加者募集が難航しているほか、ワクチンの販路問題などで、結局はコロナ治療薬を開発した企業のようにバブルが弾けるのではないかと懸念されている。
■コロナで急騰した株価がバブル化
昨年コロナが大流行すると、韓国製薬業界では治療剤の開発を目指す製薬・バイオ企業が雨後のたけのこのように登場した。鍾根堂、大熊製薬、GC緑十字などの大手製薬会社だけでなく、中小の製薬・バイオ企業など10社余りが参入した。セントリオンは抗体治療剤、緑十字は血漿治療剤を開発中だ。残る企業は既存の医薬品成分のコロナ治療効果を確認する「ドラッグリポジショニング」を進めてきた。これら企業が「新薬開発着手」「動物実験で優れた効果」「臨床試験開始」といった報道発表を行うたびに株価はストップ高となった。
しかし、1年余りが経過した現在、これといった成果を上げた企業はない。セントリオンが今年2月、条件付き認可を獲得しただけで、大半の企業はまだ臨床試験段階だ。急性膵臓炎治療剤「ナファベルタン」をコロナ治療薬として開発している鍾根堂も緑十字のように食薬処に条件付き認可を申請したが、3月に認可が下りなかった。条件付き認可を受けたセントリオンですら、開発した抗体治療剤「レッキーロナ」による治療効果は医学界で論争となっている。バイオ企業クリスタルジノミクス、ニュージェンセラピューティクスは昨年、食薬処から臨床試験の実施を承認されたが、まだ試験対象者を募集している。中央大薬学部のソ・ドンチョル教授は「韓国の製薬会社の規模と研究開発人材からみて、国産治療剤の開発は容易ではない」と指摘した。
コロナの流行初期に投資家の殺到で上昇した株価は失望売りにさらされている。一時20万ウォン近くまで上昇した新豊製薬の株価は現在6万ウォン台で推移している。新豊製薬はマラリア治療薬「ピラマックス」にコロナ治療効果がないかどうか、第2相臨床試験を実施し、データ分析を進めている。昨年40万ウォンだったセントリオンの株価も現在は26万-27万ウォンにとどまっている。条件付き認可を受けた2月以降、株価はむしろ下落している。
■ワクチン関連株も山また山
コロナ治療薬とは異なり、韓国のコロナワクチン関連株は年初来株価が好調だ。ワクチン開発会社、ジンワン生命科学(Geneone)の株価は昨年初め時点で2000ウォン台だったが、現在は10倍近い2万2000ウォン台だ。6000-7000ウォン台だったユーバイオロジクスの株価も現在は4万8000ウォンを超えた。
現在SKバイオロジクスなど韓国企業5社が第1、2相臨床試験に入っている。しかし、開発完了までには難関が待ち構えている。国家臨床試験支援財団によると、第3相臨床試験には3万-5万人の参加者が必要だが、国内外から臨床試験参加者を募るのは容易ではない。世界的な製薬メーカーがワクチン市場を掌握した状況で、販路開拓も大きな宿題だ。製薬業界関係者は「時間をかけて国産ワクチンが登場しても、世界的な企業よりも規模が零細な韓国の製薬会社が供給網を構築できるかは未知数だ」と話した。