科学者が海洋での深海試掘記録を43年ぶりに塗り替えた。今回の試掘はプレート同士がぶつかる場所で、地震や津波の原因究明に役立つと期待される。

 

 欧州海洋調査掘削コンソーシアム(ECORD)は今月18日、日本・東北地方沿岸で大型ピストン掘削機を使い、日本海溝の海底8023メートルの試掘に成功したと発表した。

 これまで深海試掘の最高記録は1978年に米研究船「グロマーチャレンジャー」がマリアナ海溝で水深7034メートルの海底を試掘したものだった。陸地では1989年にロシア北部のコラ半島で1万2262メートルまで掘削したのが最高だ。

 今回の試掘は14日、日本の海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究船「かいめい」で行われた。かいめいは2時間40分をかけ、長さ40メートルの試掘設備を海底に下ろした。3時間にわたる試掘の結果、長さ37メートルの堆積層のサンプルを取得することに成功した。ピストン試掘機は結局8060メートルの深さに達したことになる。

 日本海溝は日本東北部の太平洋沿岸にあり、最も深い場所は8046メートルで、その地点は2011年にマグニチュード9.1の巨大地震を起こした震源と近い。当時は海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込み、地震が起きた。そして、大陸プレート上の海底面が上昇し、海水が盛り上がる形で地震津波が起きた。

 科学者は今回の試掘で得られた海洋堆積層が地震研究に役立つと期待している。測定した堆積層の温度は過去にプレートが衝突して発生した摩擦熱がどれほどなのかを知る手掛かりになる。

 今回の探査チームの共同隊長を務めたオーストリア・インスブルック大のマイケル・シュトラサー教授は「研究船の船長、船員による努力のおかげで安全に深海の試掘に成功した。今後は海で最も深い場所のサンプルを分析する科学研究が進むことになる」と述べた。

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