▲写真左から『ショウコの微笑』スペイン語版、『地球でハナだけ』スペイン語版、『ミカンの味』日本語版、『韓国が嫌いで』スペイン語版

 最近、チリの首都サンティアゴに近い首都圏の10万人をリスナーとして抱えるチリ大学ラジオ放送に、小説家チェ・ウニョン(37)が韓国からリモートで出演した。南米現地でスペイン語に翻訳されて2019年に出版された短編小説集『ショウコの微笑』をテーマにしたインタビューだった。司会者が「ベトナム戦争を取り上げた(『ショウコの微笑』の収録作)『シンチャオ、シンチャオ』はチリと英国間の『マルビナス戦争』(英国側呼称『フォークランド紛争』)を思い起こさせる。この作品を書く時、一番難しかったことは?」と尋ねた。すると、チェ・ウニョンは「ベトナム戦争は大きな傷であり、韓国人があまり取り上げないテーマなので、作品を執筆する時も別の暴力を引き起こすのではないかと心配する気持ちが強かった」と答えた。

 チリの出版著作権エージェント「VLP」が韓国文学翻訳院に要請して行われた「チリ 韓国人作家10人ラジオ・インタビュー・シリーズ」だった。チェ・ウニョンをはじめ、ペ・スア、ユン・ソンヒ、チャン・ガンミョン、キム・エラン、チョン・セラン、ファン・ソギョンら韓国人作家10人のインタビューを来る8月まで、隔週で放送する。これら作家たちの作品はすべてスペイン語に翻訳され、昨年チョン・セランの『地球でハナだけ』、チャン・ガンミョンの『韓国が嫌いで』など、比較的若い作家の代表作が初めて紹介された。ヒヒアン・ラヒンVLP代表は「BTS(防弾少年団)の歌やポン・ジュノ監督の映画に続き、韓国文学に対する関心が高まっている」と語った。

 翻訳院の支援を受け、海外に出て行った韓国文学作品は、年を追うごとに増えている。2016年に117作品だった海外出版文学は、昨年170作品に達し、翻訳された言語も18カ国語から26カ国語と多様になった。注目すべき点は、「官」主導ではなく、市場の力で海外に出て行く作品が増えていることだ。昨年、海外出版社と先に著作権契約を締結しなければならない翻訳出版支援により出版された作品は106作品で、翻訳院が主導する公募事業の64作品を上回った。

 出版グループ「文学トンネ」のキム・ジヨン著作権チーム課長は「2017年に20件余りだった海外出版社との著作権交渉が昨年は90件に増えた」「著作権輸出の80%を占めるアジア圏では特に日本市場のこれまでとは違うムードを体感している」と語った。かつては韓国文学をこちらが直接紹介しなければならなかったが、今は日本の出版社同士で出版競争が起こっているという。2018年に日本で出版されたチョ・ナムジュの『82年生まれ、キム・ジヨン』が現地でベストセラーになって以降、韓江(ハン・ガン)、チョン・セラン、キム・エランなど韓国人女性作家の需要が高まった。出版社「茶山ブックス」のハン・スンビン著作権チーム長は、「韓国文学の商業的成功が証明されたので人気が高い」と話す。昨年、韓国で出版されたチョ・ナムジュの長編『ミカンの味』は、本が出る前に日本12の出版社から著作権契約のラブコールを受けた。億ウォン(数千万円)台の先払い印税を払って朝日新聞出版が契約を獲得し、今月20日に日本で出版される。日本でエッセイ『私は私のままで生きることにした』で50万部の売上を記録したキム・スヒョンは昨年、後続作『頑張りすぎずに、気楽に -お互いが幸せに生きるためのバランスを探して-』で日本の出版社から先払い印税2000万円を受け取った。

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