オンラインゲームで知り合った同い年の女性が自分との連絡を絶った後、継続的にストーカー行為に及び、母子3人を凶器で残忍に殺害したキム・テヒョン容疑者(25)は、殺害後3日間、遺体のそばに留まり、ビールを飲むなど猟奇的な行動を取っていたところを逮捕された。取材陣の前に立ったキム容疑者は「少しだけ腕を放してください」と求め、突然ひざまずくという行動を見せた。27日には国選弁護人を通じ、自身の犯行に関する報道に一部事実とは異なる部分があるとして、整理した資料まで配布した。

 キム容疑者を取り調べた警察はプロファイラー(犯罪心理分析官)4人を投入したが、「サイコパスではない」と判断した。検察も27日、キム容疑者を起訴し、同様の結論を下した。なぜそうした結論に至ったのか。

 サイコパスとは「反社会的人格障害」を持つ人物を意味する。警察は「PCL-R」と呼ばれる20項目のサイコパス評価用紙でキム容疑者を取り調べた。そこには「過度の自尊心」「病的なうそ」「共感能力の欠如」「自身の行動に対する責任感を感じられない」などサイコパスの特性を評価する質問事項が盛り込まれている。項目別に0-2点で評価し、40点満点で25点以上であれば「サイコパス」に分類される。過去に連続殺人犯の姜浩順(カン・ホスン)受刑者は27点、児童性犯罪者の趙斗淳(チョ・ドゥスン)元受刑者は29点でサイコパスに分類された。警察は「まだ捜査段階にあり、キム容疑者の点数を明らかにはできないが、25点には達しなかった」と説明した。検察も大検察庁の心理分析官を投入し、PCL-Rをはじめとする心理検査、面談を通じ、「低い自尊心、拒絶に対する高い脆弱性、過度の執着、被害意識的思考、報復心理など反社会的傾向はあるが、サイコパスではない」と判断した。

 東国大警察司法大学院の林俊泰(イム・ジュンテ)院長は「サイコパス犯罪者である連続殺人犯・柳永哲(ユ・ヨンチョル)は犯行場所を変え、現場の指紋や足跡にまで神経を使った。キム容疑者は1カ所で犯行に及び、現場を立ち去らず、逃走しないなど典型的なサイコパスとは異なる」と指摘した。また、キム容疑者が犯行後、自傷行為に及ぶなどサイコパスの特徴である「過度の自尊心」「自己愛」も示さなかったとした。

 ただ、あらゆる検査でキム容疑者の攻撃性、衝動性など「反社会的傾向」は一貫して明らかになった。京畿大犯罪心理学科のコン・ジョンシク教授は「通常犯罪者の80%程度が反社会的性格を持つが、そのうちサイコパスの割合は20%未満だ」とし、「衝動性、さまざまな犯罪歴といった項目では高い点数が出るだろうが、サイコパスと見なすほどではないとみられる」と指摘した。

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