邢海明・駐韓中国大使が21日、韓国に対し「5G(第5世代移動通信システム)やデジタル経済、人工知能(AI)などに代表される新型インフラの建設を(中国と)共に推進するよう望む」と述べた。米国のバイデン政権が半導体に関して中国を排除するグローバル供給網の構築を進める中、韓国に対し、中国と協力すべきと発言したわけだ。

 邢大使は同日午前、TBS(韓国)のラジオ番組『金於俊(キム・オジュン)のニュース工場』に出演し「中韓関係は相互補完性が非常に強い。産業連鎖、供給連鎖(サプライチェーン)、価値連鎖(バリューチェーン)がつながっている」とした上で、上記のように述べた。また「中国の一帯一路(中国の陸と海のシルクロード構想)と韓国の新南方・新北方政策の協力を強化しよう」とも述べた。

 韓中間の自由貿易についても強調した。邢大使は「駐韓自由貿易協定(FTA)第2段階交渉を速やかに妥結し、より良い条件をつくろう」と述べた。また、昨年発足した地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に言及し「多国間主義と開放型の世界経済の建設を共に推進できるよう願う」と述べた。さらに、邢大使は中国の吉林省の省都・長春と、吉林省・延辺朝鮮族自治州の琿春に経済特区を造成したとして「多数の韓国の方々が(開発に)参加してほしい」と述べた。

 邢大使は、米中の摩擦が高まっていることに関連し、米国への不満も吐露した。邢大使は「中米(米中)関係は(米中が国交を正常化した)1979年以降で最も困難な状況に直面している」として「米国の一部の政治家が政治的目的で中国を圧迫し、両国関係に非常に大きな傷を与えた」と主張した。さらに「米国がこれ以上人為的に新たな障害物をつくらないことを心から願う」と述べた。

 米国が中国の人権を強く批判していることについても反発した。邢大使は「南シナ海や新疆ウイグル自治区、チベット問題に関連し、人権を利用して中国を揺さぶったり、中国の核心利益を阻害したりすれば、我々としても反発せざるを得ない」とした上で「対話を通じて管理していくのがよい」と述べた。

 邢大使は「米国が韓米日の安全保障協約を強化すれば、中国が経済報復に出るのではないか」という質問に対し「真の多国間主義を実践していくのなら誠にありがたい」と述べた。また「韓国が米国と同盟関係だということを知らないのではない」として「我々は韓国を圧迫したり苦しめたりはしない」とも述べた。

 中国は、韓国が終末高高度防衛ミサイル(THAAD)を配備すると、限韓令(韓流禁止令)を下して経済報復に出た。限韓令は完全には解除されていないが、邢大使はこの日「中国はTHAADを通じて脅威を受けた」として「幸い中韓両国は努力によってTHAADの影響を克服した」と主張した。

 司会者の金於俊氏は「メディアを通じて韓服(韓国の伝統衣装)、BTSなど文化摩擦が頻繁に報道されるが」と質問した。これに対し邢大使は「歴史・文化問題をめぐる中韓間の論争は、誤解から始まったケースがかなりある」として「一部はメディアによって誇張され、捏造(ねつぞう)されることもあり、人為的に作るケースもあるようだ」と述べた。

 これに対し金氏は「中国と韓国が対決するよう仕向ける人々は誰なのか」と尋ねると、邢大使は「さあ、なぜそうなのか分からない」と答えた。金氏は「韓国にも、中国と韓国の対決を望む人々がいる」と述べた。邢大使は「政府が自らの役割を果たし、良い方向に発展していけるよう導けばいいと思う」と述べた。

 邢大使がラジオ番組にインタビュー出演するのは異例のことだ。邢大使は「中国でもこのようなことは経験がなく、韓国に来てからも初めて」と述べた。金氏が「ニュース工場は韓国で最も有名なラジオ番組」と話すと、邢大使は「私だけでなく、中国大使館、韓国にいる中国の方々が、ニュース工場は非常に良いと褒めている」と述べた。これに対し金氏は「正確にご存じだ」と応じた。

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