▲京都国際高校の野球部部員たちが16日、校内のグラウンドに集まり、3日後に迫った第93回選抜高校野球大会の試合でベストを尽くし闘おうと誓い合った。同校は19日に始まる甲子園大会に、外国系の学校としては初めて出場を果たした。写真:京都=李河遠(イ・ハウォン)特派員

 選抜高校野球大会(春の甲子園大会)は日本でプロ野球の人気をしのぐ超大型イベントだ。19日に始まる第93回大会に韓国系の京都国際高校が外国系の学校としては初めて出場を果たし、韓日両国の注目を集めている。野球部の選手40人は全員日本国籍で、「事実上の韓日連合チームの快挙」という言葉も聞かれる。日本各地に居住する在日僑胞たちは応援のため、試合が行われる兵庫県内の甲子園球場に集まることにし、僑胞約400人が後援金を出した。

 同学校の全生徒数は131人。男女半数ずつで、在日僑胞の生徒は約40%だ。このような小さな学校が、4000校を上回る高校野球チームが競い合う予選をくぐり抜け、甲子園大会に出場する32校に入ったのは奇跡だと言われている。16日に訪れた京都国際高校は、3階建ての校舎が1つしかなかった。野球部の選手たちが練習するグラウンドを見ると、外野が小さく見えた。ホームベースから外野までの距離が最大で60メートルしかない。それでもこの学校は、地域予選で8連勝して甲子園大会に出場を決め、23日に宮城県仙台市の柴田高校と対戦する。朴慶洙(パク・ギョンス)校長は「私たちの学校は野球場が小さくて、外野手の守備練習は別の球場を予約してしなければならない。劣悪な状況で甲子園に出場した選手たちに感心する」と語った。

 在日僑胞社会は、1947年に京都朝鮮中学として開校した京都国際高校の甲子園出場にお祭りムードだ。僑胞社会を代表する在日本大韓民国民団(民団)は連日、新聞やホームページを通じて後援運動を繰り広げている。「選手たちの闘魂に感動した」という励ましの電話も同校にひっきりなしにかかってくる。関西地方の別の韓国系学校である金剛学園と建国高校は合同応援を行うことになった。

 同校に野球部ができたのは、学校再建のための苦肉の策だった。当初、在日僑胞たちが建てた同校は、1990年代後半に深刻な経営難のため生徒数が70人にまで減り、教師たちは給料をもらえないこともあった。この時、野球に特化して学校を再建しようというという意見が出た。1999年に野球部ができたが、初めて行った試合では0-34で5回コールド負けを喫した。初勝利を挙げたのは野球部創立2年目の2001年だった。

 同校はこの時の経営難をきっかけに事実上の「韓日連合学校」に転換した。2004年から日本の文部省の支援を受け、日本の生徒たちを受け入れ始めた。毎年韓国から10億ウォン(約9600万円)と日本から15億ウォン(約1億4500万円)、つまり両国の教育当局から約25億ウォン(約2億4000万円)を支援されている。今では日本国籍の生徒が60%で、韓国系の生徒よりも多い。朴校長は「日本の男子生徒たちは野球がしたくて、女子生徒たちはK-POPが好きで来るのがほとんど」と話す。女子が主軸であるダンス部の生徒は、京都地域のさまざまなイベントによく招待されるほど実力が高い。

 京都国際高校は韓国語、日本語、英語を中心に教えているが、最も比重が大きいのは韓国関連教育だ。新型コロナウイルス感染症が流行する前は修学旅行や体験研修で生徒たちを毎年韓国に4-5回行かせて教育した。朝鮮通信使関連の歴史をはじめ、未来志向的な方向性で両国の生徒を指導している。日本で生まれた在日僑胞で1年生のキム・ウヒさんは「韓国から留学で来た友達と韓国語で勉強できるからいい」と言った。

 在日僑胞の中には、京都国際高校の甲子園出場により韓国語の校歌がテレビ生中継で日本全国に放送されることに意味を置く人も多い。甲子園大会ではすべての出場校の校歌を試合中に少なくとも1回は放送する伝統がある。同校の校歌の1番は「東海の海渡り 大和(やまと)の地は 聖なる我らが先祖の いにしえの夢の場所」で始める。4番には「力強く立ち上がれ 大韓の子孫」という一節もある。日本人の野球部員と応援団がこの歌を歌う。

 日本社会の一部では、同校の校歌に「東海」(日本名:日本海)という単語が入っていることを問題視する見方もある。日本高等学校野球連盟は東海を「東の海」と翻訳した日本語の校歌の字幕を作り、試合を中継するNHKなどに提供したという。しかし、山口吟太主将(3年生)は「そのようなことには全く神経を使わない」と、韓国語の校歌を堂々と歌うと言った。野球部の小牧憲継監督も「私たちの学校は特別な履歴を持つ学校だ。新型コロナなどで厳しい時期に日本と韓国の両方に感動を与える試合をしたい」と語った。

ホーム TOP