「最近持ち上がった『韓服工程』や『キムチ工程』は、中国の韓国歴史侵奪を既成事実化する過程で生じたものだ。韓国人が黙っていればいるほど、歴史侵奪は強固になり、覇権主義の逆襲を受けることになるだろう」

 中国が、韓国古代史を自国史の一部として歪曲(わいきょく)した東北工程(2002-08)の後も歴史侵奪を続け、現在は韓国史全体を侵奪する状況に至った-という研究結果が出た。徐吉洙(ソ・ギルス)高句麗・高麗研究所理事長(元西江大学教授)は1日、オンライン発表予定の「東北工程侵奪報告」の原稿でこのように明かした。

 中国の東北工程は、2004年8月に「政治問題化することを防止したい」などからなる韓中両国の5項目口頭了解が行われた後、水面下に隠れた。しかし中国共産党吉林省委員会宣伝部などを中心に東北工程の作業は継続され、07年1月まで5年間の計画だった東北工程を2年延長して08年末まで強行したという。

 こうして歴史侵奪を終えた中国は「固め作業」に入り、吉林省社会科学院が発行した学術誌『東北史志』を通して2016年まで歴史歪曲を続けた。その結果、古朝鮮・高句麗・夫余・渤海は「中国史の一部」にすり替わり、新羅・高麗・朝鮮王朝の歴史は「中国の半属国」に格下げされた、と徐教授は指摘した。

 その結果、世界の中国語ユーザーの80%が使うポータルサイト「百度」の百度百科に、この歪曲内容がそのまま反映されたという。百度百科の「古朝鮮」の項目には「文化はもちろん血縁の属性のような全てが、こんにちの大韓民国や朝鮮の歴史に属さない中国古代の地方政権」と記され、「高句麗」の項目では「中国の中央王朝の地方行政組織の特性を有した」「主権を持った独立国家ではなかった」として、中国史の一部だという東北工程の論理をそのまま反映した。2017年4月に米国のドナルド・トランプ大統領が伝えた「韓国は歴史的に中国の一部」という習近平国家主席の発言は、こうした背景から出てきたものだと徐教授は主張した。

 徐教授は「『最後のとりで』と考えられていた中国の歴史教科書すら、最近では歪曲の動きが見えている」と語った。かつて『初級中学課本 中国歴史』では「隋の煬帝は絶えず隣国(高句麗)を攻撃した」と書いていた。しかし2016年の『中国歴史』教科書では、高句麗という国名すら示さず「隋の煬帝が遼東を3回討った」と書き、隋と高句麗の戦争が中国と外国の戦争ではなくまるで中国の内戦であるかのように記述したという。徐教授は「こうした中国の覇権主義歴史侵奪はアジアと世界の平和に逆行するもの」と語った。

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