▲「アイオニック5」

 現代自動車が2月23日午後、「アイオニック5」をネット上で世界初の公開に踏み切った。現代自が独自開発した電気自動車専用プラットフォーム(E-GMP)が適用された初のモデルで、「電気自動車の大衆化時代」を狙った野心作だ。

 「アイオニック5」は2月25日から事前契約を開始し、4月には正式発売する予定だ。年内に欧州、北米などにも進出する。現代自は「アイオニック5」をテスラが支配するグローバル電気自動車市場を攻略する戦略モデルとして掲げ、市場の勢力地図を塗り替える狙いだ。

■1センチたりとも無駄にしない室内空間

 アイオニック5の全長は4635ミリと、準中型スポーツタイプ多目的車(SUV)のトゥーサンとほぼ同じだが、ホイールベース(前輪と後輪の幅)は3000ミリと、大型SUVのパリセード(2900ミリ)よりも長い。ホイールベースが長いほど、車の室内空間は広くなる。車高もSUVに近く高めで、頭上の空間は余裕を感じさせる。

 現代自の関係者は「専用プラットフォームが適用されたことで、従来の自動車の常識を超えた室内空間確保が可能になった」と述べている。例えば、車の駆動軸がなくなり、運転席と助手席の間を遮る段差が無くなったほか、車内のフロアも平らになった。運転席と助手席では航空機のビジネスシートのように脚を支え、運転席と助手席の間のコンソールボックスは前後に最大140ミリまで動かすことができる。後部座席のシートも前後の移動が可能だ。親と子どもが一緒に乗った場合、シートの位置を調整して互いに会話を楽しむことができる。現代自のイ・サンヨプ専務(デザイン担当)は「室内空間を1センチたりとも無駄にしないために最善の努力を尽くした」と説明している。

 「アイオニック5」は、バッテリー容量の異なる二つのモデルが発売される。72.6キロワットアワーのバッテリーを搭載した「ロングレンジ」の場合、1回の充電における走行距離は410-430キロ程度だ。また、停止状態から時速100キロに到達するのに5.2秒と、エンジン性能も十分だ。一般充電(400ボルト)と高速充電(800ボルト)を共に可能にした充電システムが搭載され、18分の充電でバッテリー容量の80%を満たすことができるほか、5分の充電で最大100キロまで走ることができる。

■ポニーのデザインに各種の先端仕様を搭載

 車の外部デザインは1974年に初めて発売された「ポニー」からインスピレーションを得て設計された。小さな正方形の彫刻を繰り返し配置したピクセル模様をヘッドライトとテールライトなどに取り入れ、未来の電気自動車にふさわしいデザインに仕上げた。

 最も大きな変化としては「サイドミラー」がなくなったという点だ。車体の側面にはミラーの代わりに薄いカメラが設置されており、運転手はドアの内側に取り付けられたディスプレー(OLED)を通じて、後方の交通状況を確認することができる。現代自側は「空気抵抗を最小限に抑え、ミラーでは確認できなかった死角も取り払った」と明らかにしている。ドアハンドルも内部に隠されているが、車のキーを持って近づくと、自動的に現れる。

 最新の電気自動車らしく、現代自グループの先端走行補助システムが数多く搭載された。高速道路で前の車との間隔を維持しながら車線に沿って走行する「高速道路走行補助」システムはもちろんのこと、自動車の車線変更、衝突防止、対角線・平行駐車支援システムなどが搭載された。車の後部トランクの収納スペースは531リットルで、後部座席を畳めば1600リットルまで拡張される。車前方のフードからエンジンが取り除かれたため、代わりに小さなトランクを準備した。テスラに似た構造だ。

■テスラ「世界をリードする電気自動車ブランドになる」

 現代自は「アイオニック5」の値段を5000万ウォン(約470万円)台半ばとする予定だ。最終的な消費者価格は4月の正式発売時に確定する。電気自動車に適用される個別消費税支援(最大300万ウォン〈約28万円〉)と購買補助金(ソウル基準で最大1200万ウォン〈約110万円〉)を考慮すると、実売価格は3000万ウォン(約280万円)台に落ち着く見込みだ。

 テスラの主力モデルであるモデル3(5479万-7479万ウォン〈約520万-700万円〉)、モデルY(5999万-7999万ウォン〈約560万-750万円〉)の競合モデルとして登場する。同社は昨年、全世界で約50万台を販売し、電気自動車の世界市場でシェア23%を獲得。1位に輝いた。現代自は今年「アイオニック5」を皮切りに、来年は「アイオニック6」(中型セダン)、2024年には「アイオニック7」(大型SUV)と、ラインアップを拡大していく計画だ。現代自のチャン・ジェフン社長は「現代自は『アイオニック5』を通じて電気自動車の世界市場をリードする最上級ブランドとして浮上するだろう」と自信を示した。

 「アイオニック5」は今年3月にも蔚山工場で生産を開始する。今年は7万台、来年からは年間10万台の生産体制を整える計画だ。今年の国内販売目標は2万6500台だ。

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