社会総合
「イルベの烙印」仁憲高校生徒の調査もせず…人権委「人権侵害ではない」
学校行事で生徒に反日スローガンを叫ばせ、チョ・グク元法務部長官を批判した生徒に「イルベ(極右性向を持つインターネット・コミュニティー・サイト)か」と言うなど、「政治的偏向性」で物議を醸した仁憲高校(ソウル市冠岳区)問題について、国家人権委員会(人権委)が棄却を決定した。人権委は、問題になったという事実は認めながらも、「生徒たちの人権が侵害されたと見なすのは難しい」と判断した。問題を提起した当時の生徒たちは「被害者に対する調査もないままま下した一方的な決定だ」と反発している。
人権委は先月28日、「仁憲高校の生徒たちの良心の自由が侵害された」として市民団体が提起した陳情事件の棄却を決定し、これを先日、当事者に通知したことを明らかにした。陳情書には、仁憲高校が2019年に校内マラソン大会を開いた際、生徒たちに「日本の経済侵略反対」「安倍政権を糾弾する」などのスローガンが書かれたたすきを作らせ、スローガンを叫ばせたという内容が書かれていた。また、一部教師が授業時間に「チョ・グク(元法務部長官)のニュースはフェイクニュースだから信じるな」と言い、「ウソをついているのはチョ・グクだ」と言った生徒には「もしかしてお前はイルベなのか」としかりつけるなど、政治的に偏向した発言をしたというものだ。
人権委は、このような行為はすべて不適切だと判断した。人権委は決定文で、「学校の公式行事で、政治的内容のスローガンを例として提示し、生徒に叫ばせたのは不適切だ。(チョ・グク元長官、イルベ関連発言は)正当な論拠を提示し、客観的判断能力を育てるという教育目的にも合っておらず、それ自体非常に不適切な偏向性のある発言だ」と述べた。
それにもかかわらず、人権委は「人権侵害があったと見なすのは難しい」と陳情を棄却した。「反日スローガンは生徒たちが自主的に作ったもので、提唱過程に強要があったと見なすのは難しく、チョ・グク元長官やイルベ関連発言も事実だが、教師が謝罪しているので、別途の救済措置は必要でない」と説明した。
しかし、問題を提起していた元生徒たちは、人権委の決定に反発した。当時仁憲高校3年生だったチェ・インホさん(20)は28日、本紙の電話取材に「マラソン行事の準備段階から学校側は反日スローガンを例として提示し、『たすきをしなければ完走と認めない』と言うなど、事実上の強要に近かった。『イルベ』発言をした教師の謝罪も形式的なものだった」「人権委が被害生徒の調査を一度もせずに決定を下したのは職務放棄だ。人権委に対する行政訴訟や告訴などを検討している」と語った。